2022大会

学生フォーミュラ日本大会2022 5日目レポートその1(エンデュランス前半)

最終日はエンデュランス、そしてエンデュランス・ファイナル6

ついに最終日を迎えた今大会。昨日に引き続き、最終競技のエンデュランスです。

EVの2台、そしてオートクロスの18位以内のチームの周回走行だけあって、レベルの高い走りが見られました。

エンデュランス枠1:EV含め、完走割合が上がってくる

この日のスタートは7時30分からと早く、EV2台の走行から始まります。

早朝は雨が降ったようで、奥のコーナーセクションではまだ水たまりがあったようです。

EV1走目:#E08 トヨタ東京自動車大学校(完走)

7月のエコパ試走会から走行をし、学内のテストラン設備で調整をしてきた、日本唯一の直流モーターのチーム。この後の静岡理工科大学と、EVクラスでここまで熾烈な争いを続けています。

アウトラップを終えると、80秒前後のタイムで安定的に走ります。ドライバー交代もそつなく済ませ、走りこんだ成果か、交代しても80秒程度が継続します。バッテリーの電池切れ(電欠)に対しても、不安はないと自信を持っていました。

問題なく20周を走り終えると、喜びの声が上がっていました。

EV2走目:#E06 静岡理工科大学(遅刻ペナあり、完走)

エコパの隣に学校があるチームの登場です。

開始時、動的エリアへの到着が遅れ、タイムペナルティを食らいます。それでも遅れること8分、トヨタ東京の6周目から割り込みます。

「ハヤブサ」をコンセプトにしたマシンは、エコパを83秒前後のタイムで周回します。外見からは問題がなく走行しており、無事にドライバー交代も済ませます。

ただ実は、見守るメンバーは相当な不安を抱えていました。8月のエコパ試走会の時にで走れなかったこともそうですが、マシンの完全な完成が遅れ、本番の状態ではほぼテストができていなかったそうです。

「ここまで走れていることが奇跡」と話す傍ら、マシンは順調に周回をこなし、20周を走り切りました。EVの古参だけあって、基本が確実に押さえられているマシンなのでしょう。

昨日の九州工大などもそうでしたが、静岡理工は「トラブル続きだったのが、大会にきてなぜか良くなった」と話していました。エコパには天使がいるのかもしれません。

ここからはICVマシンの枠になります。路面は乾いてきており、この時点で走行ラインはドライになっていたそうです。

ICV1走目:#4 名古屋工業大学(スタートできず、のちに走行)

真っ黒な名工大のマシンはスタート位置には並びますが、エンジンが始動できず。これまでの試走会でも苦しんできた始動時の燃調不具合が発生したそう。一時動的エリアを後にします。

2走目:#17 埼玉大学(完走)

昨年のマシンをブラッシュアップする方向性で進んできた埼玉大。

エアロパーツがないマシンで、実況では路面の段差で跳ねているとの指摘をされながらも、83,4秒台という極めて安定したタイムで周回します。重たいステアリングでも、問題はなさそうです。

ドライバー交代を終えても極めて安定。試走会時はカウルの固定に不備がありましたが、今回その様子は見えず。無事に20周走り切りました。

3走目:#11 東京農工大学(完走)

大会2日目にまさかのエンジンブロー、そこから学校に帰って徹夜でエンジンを載せ替え、見事エンデュランスの出場権を得た農工大。

急いで組み上げたにもかかわらず、マシンは1度のストップのみであとは順調に周回を続けます。ペースも良く、混走していた埼玉大を一時追い抜かします。

ドライバーチェンジで少しミスがあったり、青旗で追い越されるものの、マシンは問題なく周回を続けます。

「結束力がいい」チームは雰囲気も良く、この頑張った大会の最後の競技で無事完走を果たしました。

大会後インタビュー⇓

4走目:#33 大阪工業大学(完走できず、3周)

今年から単気筒エンジンに替えたこのチーム。3か年計画の2年目にエンデュランスに挑みます。

アウトラップを終え、73、74秒台で4周目に入りますが、ここで残念ながらマシンストップ。

燃料系のトラブルで、燃圧が上がらなくなりエンジンが止まってしまったそうです。

5走目:#21 北海道大学(完走できず、9周)

北の大地からやってきたこのチーム。試走会の時も暑そうでしたが、この日の待機時間も離れて日陰で出番を待っていました。

ロングホイールベースのマシンで72~76秒台で周回をしていましたが、9周目にマシン後部から白煙が見え、オレンジボール旗(車両不具合)が出されます。戻ってきたときには冷却水が沸騰し溢れており、強制リタイアとなってしまいました。

少し経った後でも水温は115℃を表示していました。元々オートクロスの2周だけでもかなり温度が上がってしまうほど冷却系は弱かったそうで、ここにきてその弱点が露呈した形になりました。

6走目:#28 日本工業大学(完走)

ピンクの目立つチームの登場です。Tシャツの文字「自由と責任 権利と義務」にも注目が集まっていました。

走行は、メンバーから○サインが出るほど順調。タイム的にもここまでのベストタイムを記録します。信頼性や燃費もしっかり設計してきており、不安は少なそうでした。第一ドライバーはパイロンタッチなしで走り終えます。

ドライバー交代後はタイヤがタレていそうでしたが、大きな問題はなく完走。8月のエコパ試走会で最多周回を誇ったチームは、本番でも安定していました。

7走目:#14 茨城大学(完走)

今年はエアロをなくしてきた茨城大。SNSでテストランの様子をたびたび見せており、期待が持たれます。

実況からはマシンの動きの良さが褒められつつ、日本工大と同時にベストタイムを更新し周回します。

しかし、途中からタイヤの熱ダレがひどくなってきます。というのも、今年多くのチームが困ったように、茨城大も新品のタイヤが多く入手できず、やむなくテスト走行では別のサイズのタイヤで行っていたそうです。このエンデュランスでのタイヤでの経験不足が露呈してしまいました。

また、パイロンタッチが多かったり、ドライバーチェンジで人数オーバーになってしまうなどしつつ、完走は果たしました。

エンデュランス枠2:追い越しをもいくつか見られた

8走目:#26 工学院大学(完走)

これまでの試走会で順調に走行経験を積めているKRT。本当は付く予定だった前後のウィングは製作が遅れたため装着を見送り、確実に完走を目指します。

これまでの順調さを保ち、周回は70秒前後で進んでいきます。

ただ、ドライバー交代後から水温が高くなっているという報告が入ります。気温が高いときのテストができていなかったそうで、その不安が高まってきます。第二ドライバーはクーリングのためペースを落とします。

その甲斐あってか、無事20周を走り切ることに成功しました。

9走目:#12 山梨大学(動的エリアに現れず、のちに出走)

予定では、工学院大と混相する予定だったのは青の山梨大でしたが、このタイミングでは動的エリアに現れることもありませんでした。

混走は工学院大と、同じく青の京都大となりました。

10走目:#3 京都大学(完走)

デザインファイナルにも残った京都大。エアロの造形は見事で、ダウンフォースもバッチリ利いているそうです。

目標タイムは65秒だそうですが、これには難なく到達。メンバーは嬉しそうな様子を見せつつも「ドライバーの有言実行というところです」と、自信がゆえのコメント。

そのドライバーは、大きなマシンですがコース幅をうまく使い走行。ラインどりも良く、実況からかなり褒められていました。

第一ドライバーは68秒近辺、第二ドライバーは65秒近辺で安定して走行。完走を果たしました。

11走目:#23 山陽小野田市立山口東京理科大学(完走)

大会初日に騒音試験までを終え、2日目はブレーキ試験を通過しじっくり整備とプラクティス、今大会をスムーズに過ごしてきているオレンジのチームです。

70秒という目標タイムをクリアし続け、加えて極めて一定のペースで走り続けます。

混走したのが千葉大だったので青旗が出て、その際にはすこし挙動を乱したり、タイヤの熱ダレもありましたが、マシンのトラブルはなし。20周を走り切りました。

12走目:#5 千葉大学(完走)

前日のオートクロスでは3番手タイムを出すも、パイロンタッチがあり惜しくもファイナル6を逃したチームが登場。会場全体の期待が高まります。

走行前にはエースドライバーを先にする予定でしたが、直前になり後半を担当するように変更していました。これは、熱害やタイヤ摩耗が出始める後半にエースドライバーを配置することで、エンデュランス全体の安定性を作ろうをいう戦略だそうです。

第一ドライバーは68、9秒台で周回。後半にエースドライバーが乗り込むと、ここまで全チームベストの64秒台を記録。タイヤを滑らせながら熱い走りを披露しチェッカーを得ました。

この走行後は多くのメンバーが感動。この日一番の嬉し泣きがみられました。

13走目:#4 名古屋工業大学(完走できず、5周)

1走目予定でしたがエンジンの始動ができず走れなかったマシンが、燃調を整え戻ってきました。

全日本カートの出場経験があるドライバーが乗り込み、ベストで64秒台を記録します。しかし6周目に白煙が見られ、オレンジボール旗によりピットイン。エンジンからのオイル漏れがあり、やむなくリタイアとなってしまいました。

このようなトラブルはこれが初めてだったそう。ドライバーもいい感じで走れていて、これからというところでのリタイアで残念そうでした。

14走目:#12 山梨大学(完走できず、16周)

最後に、予定時間に現れなかった山梨大が残り5分で登場しました。

朝、プラクティスエリアで走行しようとするとエンジンが掛からず。見ると燃料ポンプが動いてなかったそうで、緊急事態でした。替えのポンプを借りるため多くのチームピットを奔走すると、東京都市大学が快く貸与。

急いで交換を終えると、暖気エリアでは嬉しいことにエンジンは一発始動、交換成功です。大急ぎで動的エリアへ向かい、給油と同時にドライバーが乗り込むほど急ピッチで準備。スタートしたのはエンデュランス枠残り2分というギリギリのタイミングでした。無事送り出せたメンバーは思わず泣き崩れます。

パイロンタッチは多いものの、73秒前後のタイムで、全員の思いを乗せ走行します。10周を終え、ドライバーチェンジも問題なく作業をします。

しかし、第二ドライバーの周回も後半に入ったところで、エンジン音が変化。オレンジボール旗でピットインとなり、確認するとエキゾーストパイプが折れていました。残念ながらここで強制リタイアとなりました。

この後はエンデュランスファイナル

ここで11時半を過ぎ、ファイナル6前の休憩に入りました。

大会の大詰めまで1時間。日本自動車大学校はすでに動的エリアに入り、出番を待っていました。

その2に続きます…

5日目午後のレポート

1日目

2日目

3日目

4日目

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