5日間に渡った大会、1092日待たれた大会の最終日。そのレポートです。
最終日もラスト、エンデュランスファイナル
この日の午前中までに28チームのエンデュランス走行を終え、最終日の午後が始まります。ここからは、オートクロスのタイム(パイロンタッチペナルティも含む)での上位6台のよる最後の競技が始まります。
マシンのポテンシャルが高い6チームによる20周の走行。レベルの高い周回が見られました。
コンディションは快晴。気温も高く、路面温度は50℃を超えていたそうです。風も少し吹いていました。
1走目:#13 日本自動車大学校(完走)
自動車大学校チームの最上位を常に保ってきたNATS。「余裕をもって」と、1時間も前に動的エリにマシンを運び入れていました。
今大会は静的審査で6位につけ、アクセラ3位、スキッドパッド12位、オートクロスは歓喜の5位でこの最終競技を迎えます。事前のテストラン量はおそらく最も多く、完走への期待が高まります。
コースの準備が終わり、12時37分、先頭走者としてエンジンを始動させます。走り出しの1コーナーから攻めパイロンを飛ばしてしまいますが、気合が入っている様子です。
基本的には67秒台で周回を続けますが、マシンの挙動に難しさがあるのか、ステアリング修正が多いようです。スピンやコースアウトが数度ありますが、見事なスピンターンで冷静にコースに復帰します。
ドライバーチェンジで輪留めを準備していなく時間を浪費しますが、第二ドライバーも安定した走りで20周のチェッカー。走り切った時の第一声は「ありがとう」でした。
エンデュランスの結果は5位、正味合計タイムでも6位という上々の結果を残します。
2走目:#30 富山大学(完走)
まだ歴史が浅いチームですが、今大会では車検をほぼ最速で通過。アクセラレーション・スキッドパッドはそれぞれ13、14位でしたが、オートクロスでは4位を記録し、初のエンデュランスファイナルへ挑みます。
第一ドライバーは67秒台で周回をし半分を完走。ドライバー交代もミスなく済ませます。
後半に入ると、熱害が顔を出し始めます。フロントタイヤは前半を終えた時点で熱ダレをしていました。
水温もかなり高い状態まで上がっていたようです。もともと冷却系は懸念があり、戦略として3周を攻めて走り、残り7周は安全に走る作戦を話し合っていたとのこと。このような状況に「とにかく走り切ってほしい」とメンバーは心配そう。
ただ、早い時期に完成し鍛えてきたマシンは20周を走り切り、無事完走を果たしました。
エンデュランスは6位。総合成績も6位に食い込み、素晴らしいジャンプアップを果たしました。
3走目:#38 早稲田大学(完走できず、10周)
大会前から、そしてこの大会中も数々のトラブルを抱えてきた”えんじ”のチーム。それでもオートクロスで6位を獲得し、エンデュランスファイナルへの出場を決めました。
この結果はドライバーの実力もあってこそ。スーパーFJに出場している二走目ドライバーの走りにも注目でした。
苦労を乗り越えたどり着いたエンデュランスでは、75~80秒ののタイムで周回し、ドライバー交代に入りました。ただ、このドライバー交代では人数オーバーをしてしまい、ペナルティ食らいます。
さらに、ここでエンジンの再始動ができません。試走会の頃からこの問題には苦しんできましたが、この日は初爆すら起こらず、セルの音だけで時間が過ぎています。
幾度とない始動の音もむなしく2分が経過し、ここで失格となってしまいました。注目だったドライバーはくやしさのあまりマシンを叩くも、最後はコースに向かってお辞儀をし、マシンとともに去っていきました。
4走目:#7 岐阜大学(完走できず、5周)
黒のマシンに白のホイールが映える岐阜大学。縦置きのエンジンやシャフトドライブ、露出したエキゾーストパイプなども特徴的です。
ここまで静的審査9位、アクセラ16位、スキパ6位、オートクロスでは3位を記録しており、エンデュランスでは期待が高まっていました。
66秒近辺で周回、ベストラップは65.900秒を記録しますが、6周目のホームストレートでエンジンが空ぶかし状態に。ギアが入らなくなり、赤旗リタイアとなってしまいました。
5走目:#10 名城大学(完走)
オートクロスで2位につけたのがこのチーム。それにより1位の強豪、京都工芸繊維大学との混走が決まり、かなり気合が入っている様子でした。
前日の夜にチームで会議し、京工繊に対して差を少しでも縮めるため、マシンのセッティングを煮詰めたと話してくれました。目標タイムも61.5秒と高い数値。直接対決でどんな速さを見せてくれるのか、会場全体が期待を寄せます。
第一ドライバーからベストで65秒台を記録、66~8秒で周回を続けます。だんだんとミスファイアの音が目立ってくるようになりますが、無事前半10周を走り切ります。
ドライバー交代ではプライヤーを使ってベルトを締めこみ、いざエンジンを始動しようとしますが、かかりません。爆発音は聞こえますが、回りだすことなく時間が過ぎていきます。メンバーも必死に指示を飛ばします。
不穏な空気が漂い、ドライバーが首を振った瞬間、エンジンがついに始動しました。メンバーはガッツポーズ。ついに後半のエースドライバーが走り出します。
リアタイヤの熱ダレがありパイロンを多めに倒しつつも、なんと64秒台で周回を続けます。ベストラップは64,284秒でした。
ガス欠症状もあり、ペースは京工繊に及びませんでしたが、20周を走破。きっちり完走を果たしました。
6走目:#6 京都工芸繊維大学(完走)
この段階で静的では3位以上、アクセラ2位、スキパ、オートクロスは1位で来ており、今大会では強豪として確立しています。
それでも、気を抜くことなくギリギリまで準備をしてきたそう。事前から冷却系には一抹の不安がありましたが、想定以上の気温に、緊張した様子で走行を見守ります。
第一ドライバーから全チームベストの63秒台を記録し、しかも、そのペースを保ち周回します。
さらに、後半のエースドライバーに入っても、熱ダレはありそうながらペースは上々。64秒台を保ち、盤石に20周を完走しました。
結果、合計タイムは唯一の1200秒台、2位に30ポイント以上の差をつけてエンデュランスでも1位を獲得しました。
Grandelfinoの大会後インタビューはこちら
(暫定)表彰式は京工繊の独壇場に
興奮のエンデュランスファイナルが終わり、集合写真撮影。そして結果発表と表彰式になりました。
結果は、多くの人が予想していたでしょうが、京工繊の圧勝でした。
総合優勝、経済産業大臣賞、掛川市長賞、袋井市長賞、日本自動車部品工業会長賞、ICV総合優秀賞、デザイン賞、コスト賞、プレゼンテーション賞、スキッドパッド賞、オートクロス賞、耐久走行章、ジャンプアップ賞。京工繊はこれらの獲得が読み上げられました。
また、総合第2位には京都大、第3位はNATS、EV部門優勝は静岡理工となりました。NATSは歴代最高順位となり、大きな歓声が上がっていました。
3年ぶりの大会にもかかわらず、滞りなく終了
今年は、運営側も多くの手間を割き、3年ぶりの大会を成功させようと努力してきていました。その甲斐あって、多くのミスなく大会は終了。「世界一精度の高い大会」という目標に近い大会ができたと思います。
参戦したチームは、慣れない部分もあり少し暴走した部分もありましたが、ケガ人が出ることなく終了しました。動きやルールの再確認は必要ですが、無事に全チームが頑張り終えることができました。
この大会は、昨年の公式記録会が11月にあった影響もあり、チームは2か月短縮された期間で準備してきました。そのため、この大会後にすぐ新チームを発足し、来年への雪辱を誓うチームもいました。
いまからでも来年の大会が楽しみです。
5日目午前はこちら