12月17日、早稲田大学構内で「ダンパー講習会」が行われました。講師を務められたのは学生フォーミュラにさまざまな支援をしている「enable」と「エレメントスポーツ」の方々でした。

学生フォーミュラの要素のひとつである「業界のプロからの直接講習」。一体どのレベルで行われているのか、取材してきました。

想像以上だったプロの解説

この日は実地に加え、オンラインでも講義が展開されました。すべて合わせれば20チーム以上が参加していたと思います。かなりの人気ぶりでした。

前半は座学でした。enableの蘓武氏が担当されました。

基礎編ではダンパーの原理、構造の細かな説明があり、どのような種類があるかなど、ダンパーの世界への導入といった内容でした。

そして特に面白かったのが、後半の応用編でした。いろいろなレースカテゴリーの仕事をされている経験に基づき、実際にスーパーフォーミュラで使用されているダンパーを手に講義が行われました。実測の数値を多く交えつつ、学生フォーミュラにはどのように生かしていくかまで、事細かに解説していました。

この講義は学生フォーミュラならではだと感じました。競技に生かす前提で行われた解説は、ターゲットを絞っているからこそ細かいところまで手が伸ばせる、学生に向けたものではかなり高度なお話でした。

(講義の内容は後日、enableのYouTubeチャンネルから公開されるそうです)

実際に自分たちの使用するダンパーをチェック!

後半は、講師の方々が持ち込んだダンパーテスターを使って、チームが実際に使っているダンパーの減衰データの測定が行われました。

エレメントスポーツが持ち込んだダンパーテスター
enableのテスター。チームは減衰ダイヤルを調整しつつ、いくつかの設定でデータ計測を行った

計測の様子は動画でも!

これはダンパーに適当なスピードで伸縮させて、各スピードの減衰力を計測することで、ダンパーの減衰データを得られるというものです。ちなみにエレメントスポーツがもちこんだCTWのものは、お値段300万円です。

チームは、この計測でダンパーの詳細なデータを得たり、中にはダンパーの不具合が判明するチームもありました。

このデータがどう生かされるか、楽しみです。

enableの支援が今後も楽しみ

この日、enableが製作支援したステアリングが神奈川工科大学チームに受け渡されました。

手前が新しいもの、奥が22年度のもの

これは3Dプリンターで製で、中には炭素繊維が含有されている特殊なものだそうです。そのため強度は抜群、自信がある様子でした。持った感じ非常も堅牢でした。

来季に向けては、数チームにインマニを支援予定なんだとか。開発を補助する企業ならではの支援、今後の拡大に期待したいところです。