3日目、待ちに待った走行が始まりました。最後まで平穏な日とはいきませんでした。

3日目、競技が始まる

大会も真ん中の日に入り、ついに動的競技が始まりました。アクセラレ―ション、スキッドパッド、オートクロスです。

もちろんこの結果いかんで得点が変わってきますから、大会のメインの部分がスタートしたわけです。ここから1年間の成果が速さとして表れてきます。

しかし、まだ車検~ブレーキテストまでを合格していないチームもあり、そのチームは競技に参加できるかが焦点になりました。

強豪チームがいいタイムを出せば、逆に大番狂わせとなったチームもいた3日目でした。

朝のオートクロスは雨の中スタート

動的のオープン前、暖気エリアには早くも7台のマシンが集まりました。オートクロスでタイムを記録することは、エンデュランスの出場権が得られることでもあるので、雨にもかかわらず多くのチームが集まりました。

そして8時、オートクロスがオープンすると、帝京大を先頭にホンダテック関東と山口東京理科大が走り出しました。

ただ、雨は依然として降り続け、奥のセクションは水たまりが深く、タイヤが温まらない難しいセッションとなりました。計13台が走行したものの、ベストタイムは京工繊の66.231秒にとどまり、ほとんどが70秒以上のタイムでした。

水しぶきが上がる

9時半に終了した後、段々と西の空が明るくなってきました。

開けてスキッドパッド・アクセラレーション(午前)

この開始15分前になると、雨は小降りになります。しばらくすると完全に止み日が出て、午前セッションはウェットながら路面はゆっくりと乾いていくコンディションとなりました。ただ、スキパの後半左円やアクセラのラスト10mには最後まで水たまりが残りました。

そのため、時に車列が途切れるような、穏やかな時間でした。タイムも、スキパのベストタイムが京工繊の11.205秒、アクセラも同じく京工繊の4.875秒にとどまりました。

タイムは伸びないが、後ろの空は明るい

また、雨の影響で路面に白線が引けなかったためか、スキパではコースミスが相次ぎました。これは午後にも続きました。

午後にもスキパではパイロンタッチ、ミスコースが相次ぎ、その度に赤旗が振られた

午後のスキパ・アクセラ、路面が急速に乾く

昼前の段階で気温の上昇は感じられるほどでしたが、昼休憩中には太陽が出て一気に夏日のように。動的スタッフの努力もあって、午後の開始直前にはドライコンディションになります。

待機列は忙しくなります。その場でスリックタイヤに替えたり、予定を変更してプラクティスへ向かうマシンがいました。

13時になり、新潟大のアクセラ、岐阜大のスキパで午後の日程がスタートします。ドライコンディションとなったので、ここからが本番です。

この状況を待っていたのか、それともようやく車検・試験を突破できたか、とにかく多くのマシンが登場します。次々と自己ベストを更新し、スキパは10秒台、アクセラは4秒台が続出します。

2台目のEVクラス、静岡理工科大も登場した

そして残り30分となる14時、両方で本命校がベストタイムを出します。

まず14時7分、京工繊がスキパで10.206秒、パイロンタッチはありでしたが全体ベスト。さらに続けて9.996秒をたたき出します。この時はパイロンタッチなし。1回目にタッチがあったことから2回目は多少置きに行ったランだったとのことでしたが、それでも9秒台に入れてきます。

さらに14時10分、今度はアクセラで千葉大が4.236秒のベストを出しました。3年前にアクセラ日本新記録を出した速さは今も健在。スーパーカーと加速勝負するだけのことはあります。

大注目だった京工繊が、ここで牙を剥いてきた
4気筒のパワーを余すとこなく発揮した千葉大

この後にこれ以上のタイム更新はなく、この両タイムが公式結果でも最速タイムとなっています。

最後はドライのオートクロス

そして15時30分、再びオートクロスの時間を迎えます。ここでタイムを記録できるかで、4,5日目のエンデュランスに出られるかが決まります。この時間に合わせてきたチームなどもいて、開始直前には全15台が動的エリアに待機しました。

ホンダテック関西を先頭にスタートしました。

1分台のタイムが続き、どこが1分を切ってくるかに注目が集まる中、富山大が60.114、岐阜大が60.018秒、京都大が61.375秒と、あと少しまで迫ります。

そして16時を過ぎると、ついに千葉大が59.788秒、初の1分切りを果たします。ただ、このランの最後でパイロンタッチがあり、公式結果では別のタイムがベストとなってしまいました。ドライバーは気落ちした様子でした。

さらに名城大が58.974秒まで上げてきます。しかしF4などに出場しているこのドライバーは、かなり悔しそうに「まだ上がる」と話していました。

そして16時20分を回ると、京工繊が57.296秒の全体ベストを叩き出しました。それでも、目標は56秒台だったそうで、2回という限られた機会を残念がっていました。最終的にもこれが全体のトップタイムとなりました。

この後もドラマは続きます。

望外な結果を収めたチームたち

望外なタイムを出せたのがNATSと早稲田大でした。

どちらも60秒フラットのタイムを出し、どちらのメンバーもドライバーの成果に驚いていました。しかし、NATSも早稲田大のドライバーも「59秒台行けたと思います」「分切りしたかった」と、大きな喜びとともに悔しさも見えました。

そしてこの結果が実を結び、2校はエンデュランスファイナルへの出場を決めました。

NATSの喜びようが、ハンドサインに表れる
早稲田大のメンバーは思わずマシンに駆け寄っている

そして東京農工大です。農工大は昨日、プラクティス中にエンジンブローが発生。幸いにも車検、ブレーキ試験まで終わっていましたが、それでも走れないことは緊急事態です。

彼らは、ここから1度学校まで帰る判断をします。限られたメンバーで帰校、21時に到着すると徹夜でエンジンを載せ替え、8時に出発、午後から整備、再車検をすると、何とかスキパ・アクセラ終了10分前にスキパ走行を叶えます。

そして迎えたオートクロス。彼らはタイム関係なく。マシンが治ったこと、再び走れたことへの喜びを噛みしめていました。帰ってきたドライバーを嬉しさ、達成感とともに迎えていたのが印象的でした。

農工大チームの青春が詰まったマシン

エンデュランスの出走権をギリギリで手に入れたのが、日大理工と広島工大です。

日大理工は終了10分前に動的エリアへ登場。無事エンジンもかかり、オートクロスを走り切りました。

もはや日が陰り始めている中だが間に合った

広島工大は、何度も何度もブレーキ試験を落験しましたが、17時のブレーキ試験終了の直前になんとか合格を手に入れ、すぐにオートクロスへ。1度目でタイムを記録するもトラブルでストップ。すぐに戻ってくると2度目のランへ17時29分50秒に出発。こうしてエンデュランスへの出場を可能としました。

最後のランはすさまじいスピードで準備し、間に合わせた

逆につらい状況になったのが東海大で大阪大。どちらもブレーキ試験を突破できずに終了となってしまいましたが、特に大阪大は何度かのチャレンジをする中でタイムアップ。呆然とエリアを後にしていました。

失意の大阪大。見ているだけでも辛い

そして最終競技、エンデュランス

明日からは、最後のエンデュランスに入ります。泣いても笑っても終わり、1年間の設計・製作の締めくくりの20周です。

さらに嬉しいことに、公式通知No.20が発行され、そこにはいわゆる133%ルール、「オートクロスで全体最速タイムの133%を超えるタイムだったチームはエンデュランスの出走を認めない」のルールが撤廃されることが発表されました。

つまり、オートクロスを走行した全チームに出走権が与えられることになります。どんなタイムでも、記録されていればいいのです。

エンデュランスの出走順は「公式通知No.22 Endurance Event Run Order」で発表されています。

学生たちの最後の20周、見届けましょう!

4日目

5日目午前

5日目午後

1日目

2日目

マシン名鑑