大会まであと1ヶ月!この8月には恒例の支部合同試走会が4日間の日程で開催されます。

年最大規模の試走会とだけあって、35チームがエントリーをしています。

今年は3年ぶりの現地開催で、大量の車検落ちが発生する事態を避けるため、今試走会では「模擬車検会」が行われました。事前にマシンの瑕疵を指摘し修正をさせることが目的です。

今試走会は前半、後半日程に分かれ、さらに各日で走行組、車検組に分けています。感染対策とともに、時間をかけた模擬車検が行えるようになっています。

2日目は前日と入れ替わり、走行組に「名古屋大学、神奈川大学、静岡理工科大学、神奈川工科大学、静岡大学、東京大学、日本自動車大学校NATS、名古屋工業大学、早稲田大学」、模擬車検組に「大阪工業大学、日本工業大学、東京理科大学、東京都立大学、千葉大学、東京農工大学、京都工芸繊維大学、埼玉大学」でした。

なお、名古屋大学、神奈川大学、静岡理工科大学、神奈川工科大学、静岡大学のEVクラスは各々問題を抱え、走行を見合わせています。模擬車検の続きをして過ごしました。

午前:全チームが走行を始める

早朝に雨が降ったようで、朝はウェットコンディションでした。しかし、チームが準備を進めるうちに日が照りつけ、ドライコンディションになりました(表示上はダンプ)。風もあまり吹いていません。

溝付きタイヤで暖気エリアへ向かう名工。暖気後すぐにスリックへとはき替えていた

前日の車検を速めに終えたため、NATSは制動テストまで、東大名工は燃料漏れチェックまで済ませていました。そのため、3台がさっそく暖気エリアへ入り、10時の動的スタート時にはNATSがすぐにスキッドパッドを始めます。

その後11時になり、NATS、名工がスキパ、東大がアクセラレーションへ向かいます。ところが、名工はエンジン始動ができず。燃調が決まっていないようで、最後までエンジンが掛からないトラブルが頻発しました。NATSは順調に走行をし、東大は1本のみでピットへ戻ります。

トラブル少なで走行するNATS。週3ペースで走りこんでいる効果か

11時半には、制動テストを済ませた早稲田が登場。ただ、スキパは2本目に入ろうとしたところでエンジンが掛からず。ピットへ戻ってしまいました。他の3台は各々の走行を進めていました。

結局、アクセラはNATSの4.385秒、スキパは、まだスタビライザーがつけられていない名工の10.381秒がこの日のベストタイム。早稲田はスキパ1本走行のみ、東大はアクセラ2本のみでした。

この日はウッドむき出しのリアウィングだった。もう折れないように強化されているというが…

午後:周回走行に入りトラブル続出

昼休憩が終わると、風が強くなり始めます。

周回走行のレイアウトに形作られた動的には、まず名工が走り出しますが1周を完了できずに停車。アイドル回転数を調整したことに合わせられずエンストし、走りだせなかったことが原因のようで、ピットへ戻ることなく周回走行を進めていました。

東大は習熟の1周のみ走りピットへ。NATSは1+5周の走行をこなし、ドライバーが変わった2セット4周目にこの日ベストの1:08.376を出します。しかしその次の周、突然マシンがストップします。NATSは、この後エンジンが動くことはなく、この試走会を後にしました。

7月試走会から順調そのものだったNATSは、3時間を残して終了

30分の休憩をはさみ、14時半になると東京大学が再度1周のみ走行。さらに名工が1周の習熟を終え連続周回の入ろうとすると、マシンストップ。低回転によるエンストのようですが、どうやら名工は熱に弱くエンジンの始動が難しいようです。

続いて東大がついに連続走行に入ります。ところが1分40~50秒台の周回を続けたせいで黒旗(失格)。CVTが不調だったのが原因のようです。思うように走行できないまま、東大もここで終了します。

そしてラスト1時間を迎えます。名工は連続周回を行うも、警告灯が点灯したようで4周でストップ。この時に全体ベストでもある1:05.118を出しますが、この後は列に並ぶもエンジンが始動できず。これにて終わってしまいます

いまいち周回を重ねられなかった名工。スキパのタイムからして、さらなるベストは期待できそうだ

吸気系を交換し始動性が向上した早稲田が1周を終えると、前日1周しか走行できてない、模擬車検を済ませた東京都立大学が走行を始めます。

前日にシフトリンケージ折れが発覚した都立大ですが、2速ホールドで走行するという荒業で1周。前述の名工をはさんで5周の連続走行を試みます。ブレーキランプ点灯不良でオレンジボール(整備命令)が出ますがそれは5周目で、ペースは遅いながら5周の連続走行が叶います。

都立大のあきらめない心の表れだ

最後のランは早稲田でした。スーパーFJにもでの走行経験があるドライバーが搭乗したようで、迫力のある走りを見せこのマシンのベストタイム1:08.575をたたき出します。このベストタイムは最終周だったので、最後にペースを緩めていなければ、さらなるタイムが出ていたことでしょう。

最後の走行を終えた早稲田。ドライバーにも注目だが、この走行でアフターボイルとリアウィングの損傷、そしてフレームが路面に接触していた

騒音測定エリアが新設

この日、動的エリアに端に「騒音測定」のブースが設けられました。ICVマシンの騒音テスト、そしてEVマシンの警告音の音量測定ができるエリアです。

騒音測定の様子、協力は小野測器

朝、日本工業大学が訪れると、その後は京都工芸繊維大学、埼玉大学、東大、都立大、名工、東京農工大学が測定していました。アイドリング103dB以内、一定回転数で110dBの規定ですが、日工大、京工繊、埼玉大はOKだったようです。農工大は予想通りのオーバーだったようです。

EVでは、デモンストレーションとして静岡理工科大学が音量測定を行っていました。

EVの警告音測定

模擬車検組

この日はEVマシン勢は前日からの続きでした。前日の車検の講評で、静岡理工科大学が一番だったと評価されていました。

静岡理工には見学者が集まった

EVチームに加え、この日のICV8台が車検に臨みました。そのICVチームらから、なるべく多くの感想を聞きました。

・大阪工業大学

レギュレーション解釈のあいまいな点が確認できたことで、有意義な時間になったとのこと。指摘された項目は多くあり、特にマフラーの取り付けなど大掛かりな修正も行う必要があるようでした。

・日本工業大学

コックピットやパワートレインにいくつか指摘をもらったそう。11時スタートで12時半過ぎには終了したとのことで、時間的には前半最速でした。

車検が早く終わったチームはプラクティス(スキパ)が行えることになっていたので、日工大は余った時間を活用し走りこんでいました。片側5.4秒でコンスタントに走行、最速で5.2秒を記録したそうです。その他、埼玉大学、千葉大学も活用していました。

サイドのカウルをつけた日工大。固定に少し不安があり、前日はつけていなかった

・東京理科大学

かなりひどい模擬車検になったとのこと。前日に燃料タンクのトラブルが発覚しましたが、そのほかにも多くのトラブルが見つかったそうです。

実はこの試走会でシェイクダウン証明の撮影を予定していたそうですが、トラブルが理由でかなり遅い時間に。走行の日程が終了した17時になり、自技会スタッフのサポートを受けようやく撮影ができていました。

シェイクダウン証明を撮る理科大

・東京都立大学

いくつか修正すべき箇所はあったが、1ヶ月あれば何とか治せるだろうとのこと。第2期活動の都立大は、前回できなかった車検突破ができるのか、ここからが正念場です。

・千葉大学

修正が困難な指摘箇所はなかったそう。

・京都工芸繊維大学

指摘をもらったが、多くは想定内のものだったそうで、どうしようもない修正点はなかったとのこと。

・埼玉大学

なかなか大変な模擬車検になったそう。予想していた箇所から溶接修理が必要な個所まであるとのこと。

 

この日の最後、ミーティングで「今回満足のいく試走会を過ごせた大学は?」との問いかけに、手を挙げた学校はありませんでした。3年ぶりの現地開催に向けた本格的な準備が始まり、難しい時を送ったチームがほとんどだったと思います。

ただ、特に模擬車検を終えたチームが「今、指摘をもらえてよかった。いい時間だった」と話していたことがとても印象的でした。

前半組が得られた感触を、後半組も得られるのか…後半の2日間に続きます。

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