7月6日、モビリティリゾートもてぎのマルチコースにて、試走会が開催された。学生フォーミュラチームに対して最も手厚いサポートする企業の一つであるホンダが主催するだけあって、20チーム約300人が申し込みをした。

コースは短縮レイアウトの周回コースのみ、ラップタイムは30秒前後というサイズ。気象は、曇りではあるものの夏日に達する暑さとなった。予想された雨には見舞われず。

参加チーム:C04工学院大学、C09日本工業大学、C13茨城大学、C23東京農工大学、C26東京都市大学、C32東京理科大学、C34群馬大学、C37埼玉大学、C55国士舘大学、E03東京大学、E08東北大学、E11上智大学、E18ものつくり大学(見学のみは略)

先頭は上智大学

準備の速さはチームマネジメントの優劣を表すともいえる。この日、走行前チェックであるブレーキテストに最初に現れたのは上智大学だった。21年に人数不足から青学大と合同チームに、難航したEV化は昨年にようやく走行にこぎつけた10年前の絶対王者。参戦発表会も成功裏に終えており、復活の様子を見せる。ただし、この日はブレーキテストを通過できず、電気系のトラブルも相まって走行はできなかった。

ブレーキテストを最初に通過したのは、次に現れた東北大学、一発合格を果たす。さらに次の日本工業大学も一発通過するとそのまま1周のチェックラップを刻み、先陣を切った。

その後、国士舘大学、工学院大学、東京大学は最初のトライ(2~3回)のうちにブレーキテストをクリアしている。そしてこの日に走行ができたのが、上の4台に加え東京農工大学、東京理科大学、埼玉大学の計8台となった。

最速は工学院大学が確保、最多周回は日本工業大学

関西の試走会では本番レイアウト、連続周回が行われている中、関東勢も負けてはいられないはず。

この日の最速タイムは、工学院大学がとった。走行車両のうちエアロを揃えてきたのはここだけ、昨年の国内2番手の貫禄を見せ、2番手日本工業大学に1秒差、約3%の差をつけた。

2番手の日本工業大学は「エアロレスマシンのスキッドパッド最速」を目標にしている分、周回では少し苦戦か(ただしサイズ変更したタイヤなどはかなりグリップを生み出している)。3番手東京農工大学はパワートレイン系の多くを刷新。吸気はまだ昨年仕様だったがそれでもパワー感向上が見て取れ、エアロが搭載された本番仕様ががぜん楽しみ。

(ラップタイム提供:工学院大学)

大学名 タイム(秒)
工学院大学 28.23
日本工業大学 29.30
東京農工大学 29.50
国士舘大学 33.11

 

周回数は、例年安定感の高い日本工業大学が最多となった。連続周回は5周までの中、1度もトラブルを見せず5度も出走している。2番手には東北大学、前回の5月の試走会に続きトラブルはほぼ見られなかった。

大学名 周回数
日本工業大学 46周
東北大学 38周
工学院大学 24周
東京農工大学 24周
埼玉大学 13周
国士館大学 4周
東京理科大学 3周
東京大学 2周

先頭切って走行に向かうことに定評のあった工学院大学は、車体不備を指摘され、午後からの走行となった。同じく、東京農工大学もブレーキテストに2トライかかったことで、午後スタートだった。

埼玉大学は復調が見えた。昨年は電気系トラブルに悩まされていたが、この日は1度はコース上で止まったものの、5周連続周回を2度クリアすることができていた。国士舘大学は15年ぶりの大会出走に挑む中、ブレーキテストはスピードがのらない状態でもクリア、周回はトラブルにより3周でストップしたが、速さ面でも期待を持たせる走りを見せた。

東京理科大学は意外にも昨年車両での参加。10インチホイール化をする今季車両の完成を待たずして、ドライバー練習のために旧車両を持ち込んだ。東京大学はこの数日前にシェイクダウンをして臨んだ。シェイクダウン証明の動画の取り直しもし周回走行に出たが、基盤トラブルが発生し修理のため一足早く帰路についていた。

惜しくも走れなかった車両も多い。茨城大学は単気筒エンジンの不調によりブレーキテストで走れず。東京都市大学も、昨年から頻発しているというエンジンストールで走り出せなかった。

群馬大学は走行に向け懸命な車両整備をしつつ、ホンダのスタッフにアドバイスを得ながらこの日を終えた。ものつくり大学はブレーキテストをパスできず。ただし、昨年冬に実走行が叶い、ブレーキテストも数度のトライができており、数年ぶりの大会出走には望みが持てる様子を見せた。ホンダテクニカルカレッジ関東は、車両未完成ながら参加。フレームを数年ぶりに刷新したというニューマシンは、ホンダスタッフのチェックを受けていた。

 

大会まであと2か月余り。静的審査そして書類提出もおおよそ終わり、ここから走行競技に向けた作業がますます加速していく。