6日目(エンデュランス Gr.A ファイナル) – 学生フォーミュラ日本大会2024

6日目(エンデュランス Gr.A ファイナル) – 学生フォーミュラ日本大会2024

9月14日、学生フォーミュラ日本大会2024は最終日を迎えた。

残る競技はエンデュランスのみ。グループAとファイナル6の計22台が走行予定。このあたりから耐久性だけではなく、順位見据えラップタイムを求めるチームが増え、見ごたえのある走りが展開されることが予想された。

来年から得点集計が完全にICV、EVクラスで別れることが決まっており、最後の「日本大会総合優勝」のゆくえがこの最終競技エンデュランスに懸かっていた。

グループA:まさかのリタイアが続出する

最終日朝は、なんと今大会初の雨天に見舞われる。スタートの8時の時点では小雨で路面は完全に湿った状態。運営によるコンディション宣言はダンプコンディションで、タイヤ選択は自由とされた。

C28 日本大学生産工学部

マシンコンセプトに「Steelhead(トラウト)」とエンデュランス完走の思いを込め、昨年あった燃料系のトラブルに対応し、信頼性を向上させた。今大会ではレース経験者の渡部氏をドライバーに擁して、チーム史上初のエンデュランス土曜日出走(オートクロスでおおよそ上位半分)を成し、この朝8時に出走をした。

前日に燃料関係で心配な症状が発覚しこの20周は最大限の燃費走行で臨むことにしていたが、それに加えてエンジンが吹けない症状も抱えながらの走行となった。さらに後半にはスローダウン、加えて青旗で追い越しも受ける。それでも元々のペースに復帰し、雨が降る中周回を続ける。

ラスト3周はペースアップ、1度は抜かれた混走する東京大をパスし返した。そして最終ラップにベストタイムを更新し、マシンをゴールへ運んだ。これで2018年以来の全競技完走を達成、念願の歓喜の瞬間が訪れた。

E03 東京大学

EVクラス移行2年目。昨年はEV初年度から全競技完走を果たすと、今年も2年連続の機械車検一発通過を達成しここまですべての動的種目でもタイムを残している。オートクロスでは2番手ドライバーのチャレンジにもかかわらず、鍛えてきたモーターパワーとトルクベクタリングにより、エンデュランスで土曜出走を果たすまでになった。ただこの前日、サスペンション系の破損が発生しており、現地で修復して臨んでいる。

迎えた雨の中のエンデュランス、前半は一時マシンストップするも、その後は問題なさそうに周回を続けていった。後半はレースドライバーにしてレース経験者の新原氏にチェンジ、ただ電費のためかペースを落とした走りが続く。

そして、最後まで不安げな様子を見せず、EV初年度から2年続けてのチェッカーを迎えた。パフォーマンスを上げたマシンにより、総合順位は昨年より順位を向上させる結果を残した。

この時点では雨は弱まり、段々と青空が差し始めた。

C17 東京都立大学

オートクロスの順位だけを参考にするに13インチホイール勢の2番手となったTUM-05。「スムーズ&ストレングス」のコンセプトの車両は、足回りとパワトレの両方で改善がなされ、初の土曜日出走にも残った。

タイヤは今大会初のウェットタイヤを選択。ドライバーとしては「合ってた」と好評だったこのタイヤ戦略。ただ、難しい路面とピーキーなパワートレインに苦戦し、何度かスピンを喫する。青旗掲示で追い越しを受けるも、それでも1分30秒台で周回を続けていく。

19周目には1分29秒591のベストラップを残し、そして翌20周目にゴールを迎える。これで全競技完走は3年連続を達成した。

C14 芝浦工業大学

昨年は当時のエースドライバーの活躍もありセンセーショナルな戦線復帰を果たすことに成功。迎えた今年は、小さな車体をさらにサイズダウン、そしてエアロなし車両に完全に移行した。この大会でもポテンシャルを発揮し、全道的競技でタイムを残しつつ、オートクロスでは土曜日出走する位置につけた。

タイヤは、混走する東京都立大とは異なりスリックタイヤを選択。それでも、コース上に水たまりが残る中にもかかわらず、混走相手より数秒速いペースで周回を続ける。残り数周からは多少ペースが落ちるも、トラブルを見せない走りで20周を走り切った。

これで2018年以来の全競技完走を達成。コロナ禍前の上位チームとして、復活を果たしつつある。

この段階で陽が完全に差し雨は過ぎ去った。路面もところどころドライが部分ができ始めていた。

C12 京都大学

エアロデバイスと言えば!なチームとして、今年もバネ下装着を継続している。加えて今大会にはついにシームレストランスミッションが成熟した状態となり搭載された。例年よりも早い時期にテスト走行も始めており、2022年以降最もテストを積んだ状態で大会へ登場している。

周回ペースは翌、1分20秒台前半で走行を続ける。ただ、時間を追うごとにドライ部分が増えていく路面、レインタイヤを滑らせながら走行を続ける。それでも、前後半の両ドライバーが同一のペースを維持したままの素晴らしい走りを見せる。

最終的にトラブルはなく20周の完走を果たし、さらに昨年果たせなかった全競技完走も達成となった。総合順位は7位となり、再び一桁順位に復帰している。

C50 Jilin University ICV

昨年の中国大会ICVクラス優勝を引っ提げてこの日本大会に出場。海外チームとしては唯一ここまで全競技に出走しており、特にスキッドパッド審査では全体一位を獲得している。ロングホイールベース、エンジンはスーパーチャージャー搭載。運悪く乾く路面にレインタイヤでの走行となったが、多くの注目が集まった。

その中国王者は1周目から見せつける。いきなり1分19秒台とこの日ここまでの全体ベストを更新し、チームメンバーからも歓声が上がる。

ただ、ここからASEのうねる路面が脅威となった。2周目に路面接触の疑いでオレンジボールが掲示され、2度のドライバーのフラッグ無視を挟んで4周目にピットインを強いられる。一度は問題ないということで出走を許可されるも、「路面への接触音」を指摘され2度目のオレンジボール。再度ということもあり強制リタイアかと思われたが、接触への対策に自信を持つチームは運営陣をを説得。長いピットインとなったが、厳重な監視の処置となり、再出走を果たした。その後、路面接触の度合いが大会運営の許可する範疇に収まっているという判断となった。

混走する京都大が先んじて20周を走り終えると、そこからは中国王者の独壇場に。おおよそ乾ききった路面にもかかわらず、レインタイヤをズルズル滑らせつつ、ここまでの全エンデュランスで最速の1分17~19秒台を刻み続ける驚異の走りを見せた。

そして20周目のゴールを迎え、路面干渉や合わないレインタイヤを乗り越えての完走を果たした。今大会では海外勢唯一の全競技完走チームとなり、総合12位を獲得している。

この時には路面は完全にドライアップ。そしてここからは、今大会初のエンデュランス3台混走が行われた。

C18 北海道大学

コンセプト「prelude of growth」を元に、パフォーマンスを上げるべく車体全体をアップデート。2018年以来の前後ウィングや電動シフターがわかりやすい例だ。大会前の試走回数が少なく懸念を抱いていたが、ここまで全競技で出走し、このエンデュランスも目標としていた土曜日出走を得ている。

ただエンデュランスでは苦しめられる。サスペンション設計の問題か、スピンを何度か喫してしまう走りに。それでもドライバーは冷静で、大きなタイムペナルティとなるコース復帰ミスは起こすことなく再スタートし周回を続ける。車両の耐久面でも問題は見られない。

結果は20周を完走し、2年連続の全競技完走を達成した。同じ道内の新規チームが大会を辞退している中で、兄貴チームとして堂々たる成果を残している。

C11 九州工業大学

今年最も勢いのあるチームの一つ。九州のリーダーは、「Challenge to Evolution」のコンセプトを置き、フレームを始め車両を大幅変更している。最上位勢を喰わんかというばかりのパフォーマンスを見せ、今年もこの土曜日出走に残った。

ただこのエンデュランスでは、燃料搭載量が足らない可能性を考え、エンジンパワーを落としての走行となった。そのため混走する千葉大に追い抜きをされつつも、北海道大より少し早い1分25秒前後で周回を続けていく。後半はペースを落とした我慢の走り。一時マシンが止まりヒヤッとする瞬間を見せるも、無事走行に戻っている。

そして、燃料は最後まで足りた。この完走により総合順位は9位、長らく目指していた一桁順位という目標をついに達成することが叶った。

C07 千葉大学

関東のトップを張るチームの一つ。今年はピーキーなマシンの改善に着手し、乗りやすさをさらに向上させている。ただ、まだ残留する敏感さが発生したことでオートクロスではスピンを喫してしまい、2年連続のファイナル6を逃すこととなった。

このエンデュランスでのパフォーマンスは、速さを証明するように1周目から1分20秒を切ってくる。3周目には1分17秒079のこの日ベストタイムを記録。ただ10周後のピットインではドライバーが「エンジンの調子が悪い」と不穏な感触を伝えていた。するとペースが上下していた後半17周目、マシンは無情にもストップしてしまい、そのままリタイアを迎えた。

関東の中では日本自大と並んで最も順調にテスト走行をこなしていた印象があっただけに、メンバーも呆然と他車の走りを見つめていた。これで2022年からの全競技完走は途切れている。

C13 茨城大学

関東の有力チームで、マシンの操縦性には定評があり、今年のコンセプトは「意のままの操縦性、十分なレスポンス」としている。今年は2019年以来の前後ウィングを搭載し、マシンパフォーマンスに磨きをかけた。

ただこのエンデュランスでは、混走する他車とのペース差に苦しむ。純粋なラップタイムは1分25秒前後と決して悪くはないのだが、5秒程度早いペースに加え3台の混走もあって、前後半のどちらでも両者から追い抜き受けることに。さらにドライバーは「曲がらない!」と訴える苦しい走り。それでも前半10周はパイロンタッチなしの走りを見せる。

そして18周目にまさかのマシンストップ、リタイアとなった。エンデュランス前半のノーペナルティ、オートクロスでの高順位など「意のままな走り」の実現を垣間見せたが、20周目のゴールにはあと少し届かなかった。

C06 神戸大学

2021年の静的審査のみとなった大会で初の優勝を飾っているチーム。コンセプトに「Endurance Monster」、エンデュランスで何も気にすることなく全開で走り続けられる車両を目指しており、この1年の成果を試される時がついにやってきた。

まず、周回ペースはここまでの中では一番。混走する茨城大を2度もパスする走りは、前半10周は1分20秒前後、後半にカート経験者が乗ると1分18秒台の好走を見せる。「エンデュランスモンスター」の耐久性は十分で、19周目にはファステストかつここまでで全体ベストの1分16秒307を記録する走りを可能とさせた。

そして20周を完走。両ドライバーともにパイロンタッチなしの素晴らしい走りで、エンデュランス結果はファイナル6に割り込む4位を獲得した。

C09 日本工業大学

今年もピンクのカラーリングは変えずに登場。「スキッドパッドのウィングレス車両のトップ」の目標は100分の1秒差で大阪工大に奪われるも、完全エアロレス車両としてはオートクロスの最上位につけた。

そしてこのエンデュランスでも、エアロ装着車両を次々喰う会心の走りを見せる。混走する茨城大を2度にわたって追い抜き、1分10秒台を出し続けた後半は神戸大をわずかに上回るペースを発揮。ベストタイムは1分17秒604を記録している。

安定性の高さも売りで、信頼性に不安さを見せることなく今年も完走して見せた。エンデュランス結果では、ペナルティなしで全体4位につけ、こちらでもウィング搭載マシンを何台も上回って見せている。

C41 立命館大学

昨年から10インチホイール化。ただシェイクダウン証明に数日間に合わずだったため、生まれ変わった車両の初陣は今大会となった。2019年以来の動的審査出走も果たし、動的出走の中で唯一の3ペダル車両ながら、オートクロスではさっそく速さを見せ10位に食い込んだ。

このエンデュランスでは前後ウィングを外しての走行、フロントの損傷を受けリアもバランスを取るため取り外したそう。しかしそれも関係なし、メンバーとドライバー両方がイケイケの雰囲気でここまでで最もいいペースの18~17秒台で周回を続ける。電費走行をする名古屋大をパスし、ガンガン飛ばしていく。後半はさらにペースを上げ、コンスタントに17秒台を記録し続ける。

ただこのペースが災いしたか、最終ラップでなんとガス欠によりマシンストップ、そのままリタイアとなった。強い印象を残す走りと、5年ぶりの動的審査出場という功績を、完走で締めくくることは叶わなかった。

C08 同志社大学

「旋回性の向上」をテーマにパフォーマンスアップ、テストランではトップに匹敵するタイムを記録していた。静的審査も例年強いことから、このエンデュランス次第ではかなりの好結果も期待された状態で臨んでいた。

ペースは上々。ここまででトップ、混走する立命館大にも劣らないラップタイムで走行を続けていく。テスト走行で過走行レベルに走りこんだマシンは、信頼性にもまったく問題がある様子を見せていない。

ただ10周後のピットインで急展開。エンジンからのオイル漏れを指摘され、残り半分に挑戦することなくリタイアとなった。のちの結果発表でコスト審査で1位が判明した分、悔しいリタイアとなった。

E01 名古屋大学

日本のEVの絶対王者。昨年に実戦レベルになった「4輪独立モーター+カーボンモノコック」のパッケージは、今年はさらに向上され、激しい総合優勝争いを繰り広げるとみられていた。しかし、機械車検の順番もあってスキパの出走を逃す形に。最速を賭けたオートクロスではパイロンタッチでタイム加算ペナルティ、別ラップでは攻めた結果の失速、ファイナル6には手が届かなかった。

このエンデュランスでは、2019年以来の完走を目指し、路面干渉問題を避けるためフロントウィングを外して出走した。さらにバッテリー容量を考え出力は落とした走行で前半1分20秒台半ば、後半は20~30秒台のラップタイム。3度の追い抜き、そしてコックピットのモニターが映らなくなっても、走行を続けていく。

そしてファイナルラップ、残った電気ででEVの速さを見せつけるように1分16秒157の暫定全体ベストラップをたたき出しゴールした。

全競技完走は逃したが、エンデュランスの完走は久々。総合順位はEV移行後最高となる総合2位を獲得し、EVクラスのトップも確保した。「EVによる総合優勝」という長年の目標は最後まで達成されなかったが、EVによるパフォーマンスに脅威を感じさせることは果たすことができた。

そして時間はこの時点で正午を回った。その結果、通常最終日午後はオートクロスのトップ6台”ファイナル6”による「エンデュランスファイナル」が行われるが、7位の岐阜大学が午後の出走に回されたことで「ファイナル6+1」が実現した。

ファイナル:さらにハイレベルな周回が繰り広げられる

C03 岐阜大学

4気筒エンジンとしては唯一の縦置き搭載のマシン。昨年からは大きな変更はなくパフォーマンスを保ち、スキパでは日本勢唯一の5秒切りを果たし中国王者に接近して見せた。オートクロスではエースドライバーによるアタックが時間切れでできず、3年連続のファイナル6は逃すこととなった。

ラッキーで満員の観衆の前での出走となったが、速さは遜色ない。1周目から1分16秒フラットを出しベストラップ記録を更新すると、2周目に14秒台、3周目以降は13秒台を並べる驚異の走りを続ける。10周目に記録された1分13秒371は、この大会での最速ラップタイムとなった。燃費に愛しては憂慮していないため、ドライバー交代を終えても1分17秒前後で飛ばし続ける。

そして20周を完走、2年連続で全競技完走となった。エンデュランス結果はたった5秒差で混走する日本自大に奪われたが、ファイナル6勢を出し抜いて堂々の2位となった。

C02 日本自動車大学校

ウィングレス車両のそして関東勢のトップチーム。3年連続のファイナル6の出走となった。毎年全メンバー変更を受ける活動体制だが、今年の世代もマシンを仕上げて大会に持ち込んでいる。

先ほどの岐阜大も速かったが、このチームはもっと速かった。1周目はさら速い1分15秒台をたたき出し、その後はこのペースを維持し走り続ける。第2ドライバーは16~17秒で周回を続けていく。実は大会2日前にフレームの折損が発覚し緊急修理しての出場だが、今大会ベストの走りでそれに報いていく。

そして持ち前の安定感も健在で20周を完走。ウィングなしでも速くできることを証明し続けるパフォーマンスで、堂々のエンデュランス1位を獲得した。

C05 名城大学

レース経験者にしてエースドライバー高口氏の最高のパフォーマンスで今年もファイナル6に残ることに成功。2年連続でエンジンブローを経験したなかでのこの大会、「あえてテストランを少なくする」という奇抜な作戦で臨んでおり、その最終成果が試された。

ただこの最終競技では苦戦。最速ラップは1分16秒台と決して遅い車両ではないが周囲のペースが良すぎて、自主的なものも含め計4度の追い抜きを受ける。熱問題もあり、交換した古いエンジンの不調もあり、特に後半に行くにつれて苦しい走行が続く。

そして17周目、エンジンから白煙が上がり始め、翌18周目にピットイン。オイル漏れによるもので、その時点でリタイアとなってしまった。車両発表会やピットの魅せ方でプロモーション的に話題を作った1年だったが、最後の完走には届かなかった。

残り4台。ここからは2台ずつの混走に戻った。

C22 大阪大学

22年のカーボンモノコック化以降、速さはあったがそれが記録に残らない苦しい年が続いていたが、今年はついに成果として現れた。3月中のシェイクダウンで準備期間の確保に成功すると、ここまで全競技で確実にタイムを残したうえで、すべてを注いだオートクロスで2位を獲得している。そして2019年以来、今年の目標とする全競技完走へ、最後の競技に挑んだ。

第一ドライバーは3周目の1分16秒台をベストとし、解説から「落ち着いている」と評される走り。シフト回数も抑えているようで、速さを誇示することなく堅実な走りを続けていく。後半になるとペースは落ちていき、20秒台前半から後半へと推移していく。第一ドライバーの「燃料少し吹いてないかも」という報告も気がかりだった。後半にはペースに憂慮し「ギア使ってもOK」という無線が出るも、燃料系のトラブルは尾を引いて1分40秒台にまで落ちる。

すると18周目、ついにマシンがストップしてしまう。ただドライバーはあきらめずに粘り続け、少しずつ動いてデッドラインの1分以上の停車を避けていく。そして願いは通り、マシンは復活、ついでに燃料ポンプも復活し、マシン本来のパフォーマンスを取り戻した。ラスト2周は蘇りを示すように1分18秒、21秒台を記録しゴールまで運んだ。

これで5年ぶりの全競技完走。、ハーフカーボンモノコックフレーム化してからは初めての完走となった。目標叶った分、来年以降は本格的に速さを目指したマシンづくりに回帰できることを期待したい。

C21 日本大学理工学部

2年ぶりにファイナル6に13インチホイール車両が現れた。多くの試走を積みエンジンを始め車体が例年にない程度まで仕上がっていたが、そこにレース経験者の大石氏のドライビングが相まって、チーム初のファイナル6を獲得している。今年は長年顧問を務めた先生の退任が決まった中で迎えた大会、全競技完走でさらに花道を飾ることができるか。

エースドライバーの力もあったとはいえ、このエンデュランスでの走りは決して他車の劣るものではなかった。前半は1分18秒台をベストに19秒台前後のラップタイムで落ち着いた走りを見せる。後半は「当日朝起きてドライバー宣告を受けた」という緊急出走のドライバーが搭乗。1分30秒を中心にタイムはかなりばらついているが、「シミュレーターで100周練習」し準備をしてきたとのことで、懸命にラストまでマシンを運ぶ。

そして20周を無事完走。2019年以来の全競技完走にて、顧問の先生へ最後のはなむけが叶った。

C23 東京農工大学

昨年も速さを見せていたがトラブルに泣いた。そして今年は「パワフル・京葉・爽快」のコンセプトの元さらにパフォーマンスを上げ、特にオートクロスでは真価を発揮。チーム史上初めてのファイナル6を達成した。

出走に遅れたことで2分のタイムペナルティを背負ったが、王者京都工繊との混走となった。どちらもエース同士の走行となった前半、王者のエースドライバーとの走行という念願かなった農工大のドライバーは楽しげに飛ばし、1分13秒台を連発。岐阜大の記録にあと少しに迫る1分13秒423のベストタイムを記録し会場は盛り上がる。後半はタイヤの熱ダレがきついのか、2度のスピンを喫しつつも、1分17~18秒で周回を続けていく。

そして20周目にチェッカーフラッグを受けた。エンデュランスの完走は2年ぶりで、全競技完走となると実に6年ぶりの達成。速さでも、耐久性でも結果を残し、アストンマーチンF1に似た緑のカラーに恥じない走りを見せてくれた。

C01 京都工芸繊維大学

絶対王者であるこのチーム。最終目標は4連覇としており、今大会ここまででライバルの多くが優勝争いを離脱し、またも堂々の走行となった。ただ、予定通り今年はハーフカーボンモノコック化で速さは間違いないものの、熱問題を顕著に抱えることとなった。

そのためエンデュランスでは抑え気味。ライバルの好走に引っ張られることなく、それでも1分15~16秒台のラップタイムで、粛々と周回数を重ねていく。後半ドライバーは初のエンデュランス出走だそうだが、ベスト1分15秒751を記録しつつ安定、スピンした車両に接近するも冷静に回避する落ち着いた走りを見せた。

走りこんだマシンは信頼性に問題を見せず、安定したまま20周の完走を達成した。これでほぼ優勝を確定。のちの最終結果発表でも、3連覇目の達成が言い渡された。

総合結果

総合順位

Car
Num

大学名/チーム名
1 C01 京都工芸繊維大学 Grandelfino
2 E01 名古屋大学 フォーミュラチームFEM
3 C06 神戸大学 FORTEK
4 C02 日本自動車大学校 Formula Factory NATS
5 C03 岐阜大学 Gifu Formula Racing
6 C09 日本工業大学 Formula Friends of NIT
7 C12 京都大学 KART
8 C22 大阪大学 OFRAC
9 C11 九州工業大学 KIT-Formula
10 E02 名古屋工業大学 N.I.T. Formula Project
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