ついに戻ってきた「学生フォーミュラ日本大会」!  コロナ禍以降行われていなかった現地開催が帰ってきました。

今大会はコロナ禍のため、以前とは様子、勝手が違います。大会概要、注目チーム、当日の過ごし方まで、ここで予習しておきましょう!

今年の大会の様子は?

今大会の名称は「学生フォーミュラ日本大会2022」です。

日本大会2022の公式ロゴ

今年は、2003年から続く日本大会の記念すべき20回目。大きな行事は予定されていないようですが、一部で小さなものは予定されているようです。

それよりも重要なのは、エコパでの日本大会が3年ぶりであることです。

2019年の大会を最後にコロナ禍に入ると、20年(18回大会)は完全中止、21年(19回大会)はオンラインで静的審査のみ。そして、久々現地開催の20回大会を迎えるというわけです。

現在も開催可否の心配は残っていますが、大会関係者は予定通りの開催に非常に前向きです。「何としてでも現地開催をしたい」という声も聞こえ、否が応でも期待が高まっています。

8月2日、静岡県庁で概要発表が行われた

コロナ禍前と大きく変わったのは、静的審査がオンラインになったことでしょう。これまでは現地エコパのスタジアムの方で行われていましたが、デザインファイナル(デザイン審査の決勝)を除いて、すべて前もってオンラインで行われることになりました。

発展を続けるEVクラスも、今大会の要点です。EVクラスでエントリーした国内チームは14台まで増え、過去最多を誇っています。興隆を極め、今後も争いが激しくなっていきそうです

また、フォローアップ車検会・走行というものも設けられました。これは書類提出ができず大会参加が叶わなかったチームが車検を受けられ、それを通過できれば走行を経験できるようにするもので、後述するチームの状況に合わせた措置です。

チームの状況

今年の大会を観るために、チームがコロナ禍、そして3年のブランクから受けた影響は知っておかなければなりません。

影響を具体的に2つに分けると「経験、知見不足」と「スケジュールの遅れ」です。

・経験、知見不足

学生フォーミュラのチームでは、その主体メンバーが3年生です。

その主体メンバー、現3年生というのは2020年に入学した学生に当たります。彼らは、新型コロナウイルスの渦中に入学してきており、大会の様子を全く見たことがありません。そのため、現地で大会がどのように進むか、どう準備していくのか、多くがが初見で、初体験なのです。

「マシンをどのように作っていくのか」という点は、特に難しかったでしょう。

例年は、先輩から技術、知識を教わり、次年のマシンを設計していきます。ところが時はコロナ禍、対面で会うのは難しく、不慣れなオンラインではコミュニケーションに苦戦します。結果、どのチームも引継ぎ不足を訴えています。

・スケジュールの遅れ

コロナ禍、特に緊急事態宣言による制限は、ただでさえ足りない時間をさらに圧迫しました。

緊急事態宣言を受け、学校は部活、サークルの活動を制限したり、学生同士が集まることを禁止しました。こうなると、マシンの製作はできませんし、設計についても直接ミーティングが行えず、活動は難航します。

その結果、多くのチームは当初のスケジュール通りに進まなかったと話しています。

もちろんマシンの完成は遅れ、シェイクダウン(初走行)も遅れました。例年は3~6月にマシンは組みあがりますが、これが遅いチームは8月後半までずれ込みました。

それに押されて、テストランの時間が減ります。多くのチームが例年よりテスト走行がずっと少なく、一部のチームはほぼできていない状態で大会に持ち込むことになっていそうです。マシンの弱点を洗い出したり、ドライバーの練習が十分にできていなく、大きな不安を抱えたまま大会に挑むことになります。

注目チームは?

さて、大会を楽しむために動的審査の注目チームを見ていきましょう。

8月に初めに、大会と同じ場所で試走会(合同テストラン)がありました。その時には本番と同じようにタイムが測定され、限定的に公開されました。

それをもとにすると、パフォーマンスで最有力なのは#6 京都工芸繊維大学だと思います。全競技でトップ、もしくは上位のタイムを記録しています。ここに続くはおそらく#5 千葉大学#4 名古屋工業大学#10 名城大学#30 富山大学でしょう。

他の試走会る限りでは、#2 大阪大学#53 東海大学もポテンシャルを有しているとみています。

#2 京都工芸繊維大学(試走会にて)
#5 千葉大学(試走会にて)

また、今年は特段の状況にあることも考慮しましょう。前述の通りチームの予定は遅れに遅れ、練習走行が例年よりかなり減り、全競技で無事走り切れるかに懸念が残ったままのチームが多いです。そのため、大会全体がサバイバル化する可能性もあります。

それを踏まえ、ここまで練習走行を多くこなせており、安定的に走行できそうなチームを挙げると、#13 日本自動車大学校#26 工学院大学#28 日本工業大学#9 東京大学も、上位に食い込んでくるでしょう。

#13 日本自動車大学校

ここまで触れていませんでしたが、EVのチームに関しては状況が見えません。

大会には過去最多の国内14チームがエントリーをしているという発展を遂げるクラスですが、一体何チームがシェイクダウンを完了したのかがわかりません。それでも、EVで最も早くシェイクダウンしたとみられる#E06 静岡理工科大学や、走行経験を稼げていそうな#E08 トヨタ東京自動車大学校が有力でしょう。

#E06 静岡理工科大学(報道関係者向け発表会にて)

いずれにしろどのクラスでも、総合優勝でさえ大番狂わせがあるかもしれません。

詳しくは下の記事をチェック!

大会当日、どう楽しむ?

まず、大会スケジュールはこのようになっています。

大会公式プログラムより

観戦の仕方は、Youtubeのライブ配信で楽しむか、現地で観るかの2種類が可能です。

今大会もバッチリYoutubeでの生配信が予定されています。もし現地へ行けなくても、家からでも走行の様子が観られます。”動的審査の様子”なので、3日目(9/8)から配信が行われそうです。

現地で楽しむ方は、今年はいつもとはかなり異なるため注意が必要です。

コロナ禍ゆえ、会場で入れる場所がかなり制限されています。下の図のように、競技が行われるP9と駐車場をつなぐエリアのみが、一般の方が入れるエリアになっています。

学生フォーミュラ公式サイト/メディアページより

スポンサー展示やチームのピットエリアへの立ち入りはできないので、純粋に競技のみを観覧することになります。また、トイレも、会場にあるものは一般の方は使えないようなので注意が必要です。

競技を観るうえでも、一般観覧エリアの位置を考えると、アクセラレーション、特にスキッドパッドは遠目から見ることになり、あまり楽しめないかもしれません。競技が始まる3日目は朝のオートクロスを見た後、15時半まで観光をする時間としてもいいでしょう。4,5日目のエンデュランス走行は、いつも通り楽しめそうです。

あとは、大会期間中はが予想されています。大雨になる可能性もあるので、雨具が必須です。

ついに始まる、1092日ぶりの現地大会

2019年の最後の現地開催の大会から実に1092日。ようやくエコパに日本大会が帰ってきます。

青春は密ですが、その一つである学生フォーミュラも密です。学生たちは、特に設計、製作の際に制限を受けてきました。そんな中で創られたマシンには、彼らの熱意が最密で詰まっています。

学生らの情熱の集大成、必ず見届けましょう!

日本大会2022の公式ロゴについては、転載許諾を得たうえで掲載しています

参考:学生フォーミュラ (jsae.or.jp)第20回学生フォーミュラ日本大会2022プログラム (jsae.or.jp)