日本大会まであと1ヶ月半ほど、新型コロナウイルスがさらなる流行の兆しを見せる中、学生フォーミュラ関東支部主催の試走会が本番と同じエコパ(小笠山総合運動場)で開催されました。その1日目のレポートです。
7月23日土曜日、エコパは100kmも離れた富士山が見えるほどの晴天。しかし、「遠州のからっ風」、強風が吹いていました。
この日の参加校は京都工芸繊維大学、埼玉大学、東京都立大学(旧:首都大東京)の3校でした。名古屋大学、大阪大学、東京理科大学は直前で不参加となり、2年間のブランクの深さがうかがえます。
プログラムは、午前中にスキッドパッド、アクセラレ―ション。午後はエンデュランスの走行でした。
京都工芸繊維大学
この日最も順調だったのが京工繊。日本一早くシェイクダウンを済ませており、すでにテスト走行も何度かしてきているだけあります。
この試走会では、いつも狭くでできないスキッドパッド、エンデュランスのコースに慣れるため、それらを重点的に走行しているようでした。
午前中は多少トラブルが発生。1本目のスキッドパッドはドライバーがスキパ初走行のためミスがあり、2本目はロガートラブルで走れずでした。その後は、スキパのみを数本走行していました。
午後は先頭でエンデュランスコースへ出ると、習熟2周のあと1本(5周)を無事走行。しかし次の1本では4周目に左フロントにパンクが発生。これはごみを拾ったことによるとみられています。
その後4輪を中古タイヤに交換し2本走行。この2本目にはガス欠が発生し終了。エンデュランスの周回数20周ほぼピッタリでのガス欠であり、特に問題はなさそうでした。この時のタイムは63~4秒台だそう。
その後、15時を過ぎたころに新品タイヤを投入。周回数を10周連続に増やしますが、問題なく完了していました。しかし後に話を聴くと、夏日のせいか油温、水温ともにオーバーヒート気味だったそうで、そこが改善点になりそうです。
この後も、8月のエコパ走行会に加え地元での走行会も予定しているそうで、優勝に向け準備が進みます。
埼玉大学
この試走会前日にシェイクダウンを終え、そのまま乗り込んできた埼玉大学。例年とは異なり、昨年のマシンから多くを引き継いだ「SU-16」です。
午前中はマシン整備、制動テスト、初心者ドライバーの習熟で終えました。
午後にエンデュランスコースへ出ると、エンジンにトラブルが発生。曰く、何気筒か点火していないような感触だそう。このトラブルは最後まで直りませんでしたが、コース習熟のためにそのまま走行を続けていました。
習熟2周のあと1本目を走行。中盤からドライバーがタイヤの熱ダレを感じ、スキール音が増えましたが、無事走行を終えました。
しかし2本目を前にエンジンがかからないトラブルが発生。原因は不明ながら電圧が不安定に低下しており、予備のバッテリーへの交換。この電圧低下も最後まで消えませんでした。
バッテリーを交換した後はエンデュランスを1本走り、最後特別に設けられたスキパ、アクセラを数度ずつ行っていました。
エンジントラブルによるパワーダウンや電圧のトラブルはありましたが、無事走行ができました。まだ組みあがったばかりなので、これから修正、セッティングを進めていきたいところです。
東京都立大学
17年から再び創部された東京都立大学は、19年大会の車検落ちが最後で、その経験のなさが出てしまったのかもしれません。
午前は給油の際にトラブルが発生。さらにブレーキの感触がおかしい問題を抱え、走行できぬまま半日が終わりました。ブレーキは設計上の問題でエア抜きがうまくいかないことが問題だとみられています。
午後は主催者の厚意で、走行させてもらえることに。制動テストはロックせず不合格でしたが、とりあえずエンデュランスコースを走らせてもらえることになりました。
しかし、駆動チェーンに緩みがあることが判明。チェーンが部品に接触する音を出しながらと、不安を抱えたままの走行となりました。
1本目の習熟走行ですが、ドライバーが違和感を覚え、低速で走行。1周しそのままピットへ戻りました。これは低速走行でのハンチングが原因だったようです。
その後走行に臨むも、エンジンが始動せず、またもピットへ戻ることに。原因探しは長時間になりましたが、配線にショートがあったためと判明。ショートを修復し、エンジンも始動。16時になりエンデュランスコースへ向かいます。
しかし、チェーンが抱えていた不安が的中。一周目にしてスプロケットからチェーンが外れてしまい、コース上に停車、赤旗掲示となりました。この時、シフトアップしないギアトラブルも抱えていたそうです。
応急処置によりチェーンの緩さを解消するためにコマ1つ分短くすることに。京工繊からグラインダーを借りるなどし作業は進みましたが、それでは直らないことが判明。延長されていた走行時間もかなわず、残念ながら終了となりました。
順調にはいかず…でも貴重な機会に
いつも通り走れたチーム、何とか走れたチーム、ほぼ走れなかったチームと、3校がそれぞれの状況となりましたが、それぞれ得るものがあったと思います。
この日は参加校も少なく、自技会の方が多くのアドバイスを与えていました。走れなかったとしても、大会に向けて改善点を知ることができたのではないでしょうか。
⇓2日目に続きます