2022年の学生フォーミュラ日本大会に参加するマシンにインタビューをしていくこの企画!
チームインタビューに引き続き、九州工業大学「KIT-Formula」さんのマシン「KS-18」の詳細をお聴きしました。
フレーム・シート担当の七浦さんと、サスペンション担当の遠藤さんが答えてくれました。(以下敬称略)
マシン概要
マシン名は「KS-18」。18台目のマシンということのようですが、”KS” の部分が気になったので、質問してみました。
――マシン名「KS-18」の由来は?
七浦「由来は不明です。もしかしたら九州初の参戦校だったので、九州(KyuSyu)からとったのかもしれません」
マシンコンセプトは「運転しやすい車(Easy to Drive)」だそう。
七浦「パワトレ特性や運転姿勢、ジオメトリを一般車に近づけるようにしています。吸排気をフラットトルクにしたり、ジオメトリは操舵を軽くするようにしています」
九工大と言えばテーマカラーは赤ですが、昨年のマシンカラーリングは黒要素が多く、赤は少ない部分のみでした。今年はどうなるのか聞いてみると、
七浦「カラーリングは、ぶっちゃけエアロ担当の気分で決まっています。ちなみに、フレーム担当の僕が赤が好きなので、フレームは赤にしようと思っています」
マシンの変更点
――フロントサスがプルからプッシュロッド式になっているが?
遠藤「プルロッドは整備性が悪かったり、角度がつかなくて作動効率が悪かったりするので、やめました。そもそも部品の重さがそこまでないので、重心のメリットもそこまでなかったと考えています」
――写真を見る限り、アンチロールバーがなさそうだが?
遠藤「アンチロールバーは、今年はマシンの上ではなく下の方に付ける予定です」
――フルエアロマシンを目指しサイドディフューザーを追加したそうだが?
七浦「全体のダウンフォースは増えています。初めはサイドウィングにする予定でしたが、他パーツとの兼ね合いがあり、ディフューザーになりました」
――サージタンクがアルミ製から3Dプリンタで作るようにしたそうだが?
遠藤「(重量に関しては)軽くはなっていないです。でも内面が滑らかになったので、中の吸気の流れが変わっていて、メリットはあったと考えています」
七浦「製作時に溶接する手間もなくなりました」
――ストロークセンサをつけるようにしたようだが?
七浦「ばねの縮みからダウンフォースが測れるようになります。定量的なデータが得られるので、今後の設計に生かせます」
――アップライト・ハブだけで1.8kgの軽量化を達成したようだが?
七浦「(設計担当者ではないが)ベアリングの径を小さくしたり、解析によって最適化したことで、軽量化できたと聞いています。だいぶ攻めたみたいです。形状も複雑化したので、製作納期も1ヶ月半と長かったです」
製作のイチオシポイント
最後に、インタビューを受けてもらった2人に、自身の設計の力を入れた点を聞いてみました。
七浦(フレーム担当)「フロントのロール剛性をが上がるように構造を変えたことです。コーナリングフォースがうまく活用できるようになっています」
遠藤(サス担当)「前年度のものを引き継ぎながら、ストロークセンサをつけたり、ピッチ変化がひどかったのでそれを抑制するようにバネレートを変えたりしました」
難しい年でありながらも、多くの改善を施してきた「KS-18」。このインタビュー後、無事にシェイクダウンを済ませています。
苦難の九州勢のシングルナンバー入りに向け、ここからいかに準備が整えられるかが肝になりそうです。
⇓チームインタビューもどうぞ!