チームインタビューに引き続き、第20回学生フォーミュラ日本大会に参加するマシンを紹介していきます。

今回は、日本大学理工学部「円陣会」さんのマシン「NU-CST/020」を紹介します。

プロジェクトリーダーの高橋さん、広報担当の三上さん、テクニカルディレクターの松本さん、シャシー班リーダーの壹岐さん、FAの星野先生に加え、エンジン班リーダーの大山さん、部長兼ボディ班リーダーの片山さん、前プロジェクトリーダーで吸気担当の大山さんにお話を聴きました(以下敬称略)。

マシン概要

マシン名の由来について聞くと、「NU=日本大学」「CST=理工学部(College of Science and Technology)」。「020」は20台目のマシンということ、第1回大会から出場する伝統あるチームであることが表されています。

――今年のマシンコンセプトは?

高橋「コンセプトは ”” です。風のように流れるマシンを表現しています。

昨年は内輪が浮いてしまっていたので、マシンの姿勢変化を少なくするようにしています。昨年のマシン”刹那”のブラッシュアップ弱点の補填を意識しました」

取材日は初めてマシンが組みあがった日だった

昨年からの変更点

――21年マシンからの変更点は?

壹岐「まずは、冷却を昨年の両側から片側にしエキゾーストを左側面に移動させました。昨年は後ろへ上げている形だったのですが、目標に合わなかったこともあり、横へ出すことにしました。

また、サイドダクトをアルミ製にしました。これまで空力重視だったのを、作りやすさも考慮しました。サイドフロアでのダウンフォースは増加しました。

フロントウイングには一部にCFRPを導入しています。まだどういう効果が出るか挑戦段階です」

松本「シャシーに関しては、コックピット入口を拡げました。電装系などが入りにくかったためです。逆にボトム部分は狭くしました。

メインフープの高さは、車検対策で上げました。また、メインフープブレースの位置を下げました。リアウィングへの風をきれいにする目的でしたが、見た目も良くなったと思います」

――車高を上げたようだが?

壹岐「昨年はフロントウィングを擦ってしまいました。他チームに比べ、バネレートが柔らかかったのが原因です。そのため車高を上げバネレートを固くしロールセンタを上げました

松本「車高が上がったことで、グラウンドエフェクトが減り、フロントウイングのダウンフォースが減ってしまいました。そのため、フロントウィングは形状変更をしました」

NU-CST/020で力を入れた点

――力を入れた点は?

三上「今年から3Dプリンターを本格的に使い始めました。製作にとられる時間が減ったり、作りやすさの点でメリットがありました。

アクセルペダルの踏面の製作に使いました。ドライバーの足に合わせて製作でき、ドライバビリティが上がったと思います。あとは、エアリストリクターにも使い、アルミからカーボン製にもなりました」

3Dプリンターで作られたアクセルペダル

大山「今年は燃調に力を入れました。吸排気も改善しました」

松本「ドライブシャフトの傾きを改善しました。昨年は上から見てハの字になっていたのを、ファイナルを移動しまっすぐになるようにしました。それに伴ってファイナルの後ろのフレームも移動しています」

各班のアピール点

――それぞれのイチ押しのポイントは?

中岡燃調です。学校にあるエンジンベンチを毎週のように使い、計7~8回回しました。毎週ガソリンを10L消費しました」

チームが使用しているエンジンベンチ。主要補器類はマシンに乗っていて、エンジンのみが軸に繋がっている

松本ロールセンタを重心に近づけたことです。そのためにフレーム全体を見直しました」

片山「エアロは、ウィングを中空にすることで軽量化をしました。

また、精度にもこだわりました。先輩から習った通りに作るとウィング表面がデコボコになってしまうので、型にダクトテープを巻くようにしました。試作品で表面が反射するくらい滑らかなものができたので、実物へも生かします」

高橋「マネジメント面では、昨年は組織化が不十分だったので、班分けをしっかりし、広報という役も追加しました。インスタグラムやスポンサーへの発信を強化しました。おかげでインスタグラムのフォロワー数は1159人(取材時)で、日本チームでは2位のフォロワー数です。

また、土曜日の午後に進捗会議を開くようにしました。現在の状況と今後やっていくことを共有しています」

最後に

――インタビューの最後に一言

高橋エコパで一番話題を作れるチームになりたいです、いい意味でも悪い意味でも(笑)

あとは、チーム70周年に恥じない活動をしたいです

 

昨年のマシンの各部をきっちりブラッシュアップして、上位の成績を狙っていく意気が強く伝わってくるインタビューでした。

特にエンジンには力が入っている様子でした。昨年でも好感触を得ていたアクセラレーションは、さらにタイムの向上が見込めそうです。

創立70周年、さらに第1回大会から参加する伝統あるチームは、第20回大会に向け準備万端です。