学生フォーミュラ日本大会は4日目、ついに動的審査の初日を迎えた。
午前と午後で、それぞれオートクロスとアクセラレーション&スキッドパッドが行われた。
Aichi Sky Expoでの最初の走行が始まる
セントレア、アイチスカイエキスポでの初開催となった今年、最初の競技のオートクロスで先頭で出走したのはホンダテクニカルカレッジ関西だった。誰も走ったことのない路面を踏みしめる。
その後午前には28台が走行。チームが成長を遂げ車検通過がスムーズになり、この時間においてコロナ禍後では最多となる出走数を記録した。
また上位チームでは「タイムを残し(※)エンデュランスや全競技完走を確実にする」という考えで第2ドライバーで出走するケースが続いた。それでも京都工芸繊維大学が1分6秒台、大阪大学が7秒台と速さを見せる。
(※オートクロスでタイムを記録することが、最終競技エンデュランスの参加条件)
アクセラレーションは名古屋大学が独壇場
初動トルクが優勢なEVがやはり速いアクセラ。特に4輪駆動のEVが特に有利だが、ライバル不在となった名古屋大学がトップを飾った。
序盤はJilin Univ. ICVが最初に4.1秒台へ入れ、ただそれを神戸大学が塗り替え、さらに昨年ICVトップの日本自動車大学校が4.070秒で更新する。京都工芸繊維大学の4.198秒を含め、ICVがしのぎを削っていた。
ただ名古屋大学が出て早々に3.779秒を叩き出し、総合トップを奪い去っていった。注目されていた3輪モーターの中国EV王者のJilin Univ. EVは車検不通過により出走できなかった。
2位には2年連続ICVトップとなる日本自動車大学校、3位は神戸大学となった。
スキッドパッドは黒船が大波を起こす
「速いマシン」が上位に来やすいスキッドパッドは、ベストタイムの更新し合う形となった。
京都工芸繊維大学が早めに5.127秒を出しベンチマークとした。ただしこれはセカンドドライバーだったそう。
そこに同志社大学が上回る。一方京都工芸繊維の下には茨城大、上智大、日本工業大が近いところへつける。
すると、アクセラでもいいタイムを出したJilin Univ. ICVが、今大会初の5秒切りとなる4.959秒を達成し暫定トップにつけた。これで午前が終了し折り返しに入る。
午後枠では大阪工業大学が京都工繊大を上回る。さらに千葉大学は5秒切り寸前を達成し暫定2番手につけた。
そして最後の最後、岐阜大学が日本勢唯一の5秒切りで4.966を記録する。ただしJilinには0.007秒及ばなかった。
最終的には1位Jilin Univ. ICV、2位岐阜大学、3位千葉大学となった。中国ICV王者がついに強さを見せつけてきた。
「最速マシン」を争うオートクロス
加速、減速、旋回、すべてがあるオートクロス。そこで速いチームが「最速」を名乗れる。そしてタイヤラバーが路面に乗り、路面温度もいいところまで上がり。この午後枠にエースドライバーを迎える条件は整った。
ただ、今年の出走数は予想外に多かった。午後でも30台弱が列を成し、さらにギリギリで車検を通過してきたチームもいたためスローペースや赤旗で時間はどんどんと過ぎていった。結果、一部チームは一番いい条件がそろう終了付近を狙いすぎて出走すら叶わなかった。
さらに、路面やレイアウトの難しさなのか、力んだのか、スピンが相次ぎエースが実力を発揮しきれない事態も発生した。最速争いは混戦を極めた。
最終結果としては、京都工芸繊維大学が唯一の5秒台65.188秒でトップ。2番手が大阪大学66.690秒、数年待った実力発揮。3番手東京農工大学は5秒台もパイロンタッチのペナルティに泣く。4位番狂わせの日本大学理工学部。5位こちらも仕上がり切っていないであろうマシンの名城大学、6位日本自動車大学校は3年連続のファイナル6、というようになった。
偶然か必然か、モータースポーツ経験のある実力はドライバーが上位には多く並んでいる。
注目だった名古屋大学は、電気系トラブルで一瞬スローダウンが発生、惜しくもファイナル6入りはならず8番手。昨年セカンドファステスト車両の工学院大学は、車検通過が間に合わずノータイムとなった。
明日からは最終競技のエンデュランス。どのチームも走り切れるかには非常に注目で、上位勢はビッグポイントがかかるこの競技で速さも発揮できるかが注目点だ。