23試走会レポート

7月 ホンダ主催もてぎ試走会 2日目レポート(2023/07/23)

7月22、23日にモビリティリゾートもてぎのマルチコースにて、ホンダ主催のもてぎ試走会が行われた。その2日目レポート。

参加校は千葉大学、富山大学、工学院大学、東京農工大学、日本大学生産工学部、東京都市大学、東京大学、東北大学、の8チーム。

前日に引き続きスキッドパッド、スラロームコース、そして千葉大学の要望で短縮アクセラレーションのコースが敷設された。コースの様子は昨日のレポートに。天候は快晴で、真夏日と言える気温だった。

昨日レポート⇓

#4 千葉大学

午前中は電装トラブルで出遅れたが、スキッドパッド参考タイムでは2番手の速さにつけた。

CF-23

そのスキッドパッドでは前回の試走会から車高が下がったようでフロアを擦ることがあったが、セッティングをおおよそ煮詰めてこの日トップの工学院大と並ぶタイムを記録した。また、多くの時間をドライバー練習に割いているのが印象的だった。

アクセラでは、エアシフターをテスト。ギアの入りは良さそうだったが、これまでのシーケンシャルとのシフトアップのリズムの違いや操作レスポンスの低下から、ドライバーからは良い声が聴けていないそう。搭載に向けては悩ましい状況にあるようだ。

サスペンションの変更などを含めセッティング項目を増やしたという今年、昨年から走りのレベルは下がってはいなく、上位を争う気配が漂っている。

#6 富山大学

この日の3番手。ただ大会を鑑みるとタイム的にはまだまだで、やることが残った様子だった。

TF-07

スキッドパッドに関して、朝の大きなアンダーステアはバネ交換等で改善したが、最後まで少しのアンダーステア傾向は残っていた。セッティングの決まり具合は「及第点」、ドライバーからはまだ改善したいと不満があったそうで、まだまだ道半ばか。

最後の方はスラロームを走行。今年のターゲットのひとつではあるが、スキッドパッドのセッティングを引きずり挙動が落ち着かなくなったそう。「何としても合わせたい」と、こちらはさらに先が長いようだ。

#7 工学院大学

この日の参考ベストタイムは、朝から奪取を宣言していたKRTが取った。ただ路面の良いここでスキッドパッドのタイムは5秒フラット止まりと、レベルの高い課題が残った。

KRT-23

午前中は整備ミスなどで時間を食ってしまった。「スキッドパッドのセッティングを出す」としていたが、結果すべてのセットを試すことができなかったそう。そこは若干の心残りはあろうが、最後の方にはある程度まで煮詰め、参考値で全体ベストタイムを記録していた。

また、この日はトラブルというトラブルは見られず、全チーム中の最多走行を果たしている。

この後は一度単独でテスト走行をし、エコパの試走会へ臨むという。大きな路面グリップの違いからセットアップの余力を残したということで、エコパでの最終調整をしてのタイムが気になるところ。

#12 東京農工大学

昨年までの定常性の注力から、今年は応答性へ目を向けた。その大きな方向転換にてこずっている様子だった。

NK-19

特に大きい変化は、アンチロールバーを装着したこと。ただ前回富士試走会では超アンダーステア、それを見直したこの日朝は超オーバーステアと、極端な具合となっていた。最終的にはタイヤ内圧などを調整しニュートラル近辺まで合わせられたという。

スラロームでは、極端なオーバーステアとなっていた。このあたりはストロークセンサ―などのデータを取っているため、解析をし改善したいとした。

次回にどこまで修正され、どこまでタイムが出るが。特に挙動が不安定だった高速域、スラロームは注目だろう。

#30 日本大学生産工学部

この日のマシンは、サスペンションロッドの破損を前日に突貫で直したということがあり、アライメントが大きく狂っている状態。

そのため、基本的にはドライバー練習に注力していた。ただ新しく社外品にした燃料ポンプのトラブルやシフトの入りの問題などが響き、実際はもっと走行を重ねたかったと話した。

CIT-23

 

この苦しい状況の中だが、今季初の全開での走行が叶った。吸気系が大きく変わったが、それによるものかパワー感の増加は感じられたそう。ドライバーの声としてもそれが挙がっており、嬉しいトピックとなった。また、昨年苦労した電装トラブルも少なそう。

ここからは上記トラブルの修復や燃調、アライメントを調整することなど。軽量化の成果は-20kgと大きいので、併せてスピードにつなげていけるか。

#33 東京都市大学

ターゲットの「慣らし、トラブル出し」には至らなかったが、学外活動でかなり時間を有意義に使うことができた、と話した。

前日にシフターのトラブルを修復し臨んだが、走行自体はブレーキテストの際にLSDの不具合が発覚し、そこで取り止めとなった。

M2023

その後は、学内ではできない燃調に対するトライや、騒音テストを行った。ホンダマイスタークラブの方に意見をもらうなどし、機会が無駄にならないよう使い切っていた。

チームにとっては初めての試走会で、雰囲気なども感じることができたはず。次は多くの走行で車両の実力が見えることを期待したい。

#E03 東京大学

前回の富士試走会ではシェイクダウンに留まったが、この日はスキッドパッドの走行まで果たすことができた。

ファラデー01

現状出せる出力ではスピードが足らずブレーキテストは合格できず。また、ギアの問題が発生したことで、用意があったトルクベクタリングを効かせての走行が果たせなかったなど、満足のいく1日とはならなかった。「30点」とこの日を振り返った。

それでも、トラブルをその日のうちに解消し再走行できたことは、ひとつポジティブなことだったとした。また、片側モーター出力のみではあるがスキッドパッドも走行することができた。

ここからは、トルクベクタリングのある走行を楽しみにするばかりだ。

#E12 東北大学

かなりショッキングな一幕となった。「TF-23」は稀に見る大きな車両破損を起こしてしまった。

もともとサスペンションロッドエンド部分には指摘、懸念があったそう。それもあってブレーキ試験では回を増す中で徐々にに加速・減速度を増していくようにしていた。

TF-23

ただ3回目のブレーキ試験。「思いっきりやろう」と走り出しブレーキングの瞬間、4輪で同時にロッドエンドの破断が発生した。これにより車両は走行不能になった。静的な強度解析では問題ないとしていたが、不安視はされていたため、疲労や塑性変形の具合には気を使っていたそう。まさかの、それらを飛ばしての急な破壊となった。

ただポジティブなことに、この前にシェイクダウン証明は撮影完了できている。電気系書類(ESF)の通過に続いて早めに提出したかったということだが、第一期限にはシェイクダウン証明は間に合った。

このビッグアクシデントにもかかわらず、チームはむしろ明るく、晴れ晴れした様子だった。すぐにロッドエンドは修理する構えだが、「ブレーキの破損だけは間に合うかどうか」と話していた。乗り越え大会で走行が見られるか、順調を祈りたい。

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