(2026年4月1日更新)

このページでは、学生フォーミュラのマシンについて解説していきたいと思います。

主にレギュレーションの基づいて、近年の様子もあわせて説明していきます!

車体

まずは、マシンの全体についてです。

学生フォーミュラの車両は、オープンホイール(フォーミュラカー)が規定により義務付けられています。つまりは、タイヤが上や横から見える状態でないといけません。

サイズとしては、長さが2.5~3m、幅が1.3m、高さは1.2mほどのマシンが多いです。なので、軽自動車より一回り小さいくらいです。日本大会のコースは世界に比べて入り組んだコース設定となっていて、そのため車体サイズは比較的小さくなりがちです。

重さは200kg前後、だいたいトラ🐯と同じぐらいらしいです(?)。軽いほど動きが軽快になるため、車重は特に重要視されます。200kgを切ることがひとつの目標になります。

東京都市大学(2024年)

車両の骨格をなすフレームには、90%の車両には、パイプフレーム(スペースフレーム)が採用されています。昔のレーシングカーで採用されたものです。鉄パイプと溶接機さえあれば作れてしまうので、設備が限られる学生にはもってこいなのです。それでも、何十ヶ所も溶接しなければならないため、製作が大変には変わりありませんが。

パイプフレーム(立命館大学、2022年)

一方で、カーボンモノコックフレームも存在します。現在のレーシングカー、またF1と同じものです。大掛かりな設備と手間が必要になり、このハードルの高さから2025年の採用チームは83チーム中たったの6チームだけでした。

モノコックフレームの利点は、重量に対して堅さ(剛性)が高いことです。レーシングカーではマシン全体のよじれなさ(剛性)が大事になるので、その点では欠かせないメリットがあります。

カーボンモノコックフレーム(名古屋大学、2024年)

 

ちなみに変わり種として、上智大学はアルミハニカムモノコックフレームを採用しています。十分な軽量・剛性を確保しつつ、カーボンモノコックよりも安価で、製作性も簡易であることが利点です。

エンジン・モーター

  • エンジン

ICV(エンジン)クラスで使われるエンジンは、4サイクルのガソリンエンジンでないといけません。排気量は710ccまでで、2サイクルやハイブリッド、ディーゼルエンジンは禁止されています。

使われるエンジンは基本的にバイク用のエンジンです。気筒数、排気量は様々で、そのチームのマシンの特色によって決められます。

気筒数

主なエンジン元バイク(グレードは省略)

単気筒 ヤマハYZ450、ホンダCRF450など
2気筒 ヤマハMT-07、スズキGSX-8R改、カワサキER650、ホンダCB500
4気筒 ホンダCBR600RR、カワサキZX-6R、スズキGSX-R600、ヤマハYZF-R6など

マシンを軽くするなら単気筒、パワーを出すなら4気筒、バランスを求めるなら2気筒、といった傾向があります。

大きな得点源となるオートクロス・エンデュランスのコースは極めてツイスティ、高回転域に優れる4気筒エンジンは生かしきれず、一方で450ccの単気筒エンジンでは力不足、という傾向があります。

千葉大学(ヤマハYZF-R6、4気筒599cc)
ホンダテクニカルカレッジ関西(ホンダCRF-450RX、単気筒449cc)
  • EVモーター

EVクラスのモーターは自由に選択することができます。制限は主にシステム合計80kWに収めることだけ。個数、直流交流などは自由に選ぶことができます。

大まかな選択肢としては、企業からの無償貸与と自費で購入する2択があります。

無償貸与を選択すると、日本大会独自の支援先としてホンダ、日産、三菱、デンソー、ヤマハ、トヨタの6種類が選択できます。出力、サイズ、またサポート体制の評価を考え、チームにあったものを選びます。

ホンダ貸与モーター(横浜国立大学、2024年)

 

一方の自費で購入。ある程度ノウハウを得たチームは、さらにハイレベルな性能を追求するため市販品を購入します。無償貸与品はどれもサイズが大きかったりや制御の自由度が低いなど、トップレベルを求めるには満足できない部分があります。メーカーはAMK、EMRAXがよく採用されます。

AMK DD5(名古屋大学、2023年)

モーターの搭載方式も自由。特に個性が見える部分です。

基本的にはドライバー後方に1基のモーターが詰まれる方式(MR)のマシンが多いです。マシン横もしくは後ろにバッテリーを配置し、インバーター/モーターを動かし、リア2輪で走る構造が主流です。

ヤマハ貸与モーターをMR配置する富山大学(2025年)

 

一方で名古屋大学は国内唯一、4輪それぞれにモーターを配置する4輪独立駆動のマシンに挑戦しています。さながら高度な市販車のように4輪のモーターの力具合をプログラムし、旋回性能を高めるというトルクベクタリングシステムにシステムに挑戦しています。

4輪に独立したモーターを配置する名古屋大学(2022年)

エアロ

多くの参加チームは、マシンにエアロを装着しています。フロントウィングリアウィングを始め、サイドウィングディフューザー、様々なフラップを付けるマシンもあります。

エアロに使われる素材は、一般的なレーシングカーと同じカーボン(CPRP)繊維強化プラスチック(GFRP)、場合によっては木板を使用することもあります。

エアロの話をするなら、京都大学が欠かせません。このチームは、例年トップレベルな完成度のエアロマシンを持ち込んできます。2024年はバネ下にエアロの多くを配置する特殊なマシンを作り上げてきました。

ちなみに、学生フォーミュラの中では常に「エアロが必要か否か」の論争が常にあります。日本大会の周回コースは速度域が低いため、大きなダウンフォースが出ません。このため、エアロを取っ払って軽くし、そして足回りのセッティングに費やしたほうがいい、との考え方が半分です。

タイヤ・ホイール

学生フォーミュラのタイヤ関連は、「ホイールが4つついていること」「8インチ以上のホイールサイズ」という以外に大きな縛りはありません。サイズ選択はほとんど自由です。

走行性能を高めるためスリックタイヤが主に選択され、特にフージャー(Hoosier)というメーカーの専用タイヤが9割のチームで使われてます。

フージャータイヤホームページ(Series Spec → Formula SAE参照)

ちなみに、「16.0 x 6.0-10」というサイズ表記は、「タイヤ高さ16インチ × タイヤ幅6インチ – ホイールサイズ10インチ」と読み取ります。

つまり、フージャー製のタイヤは幅150~200 mmです。軽自動車から小型車くらいのサイズですね。ちなみに、対応ホイールサイズは10インチ用と13インチ用があり、ウェット路面用の溝付きタイヤもラインナップされています。

フージャータイヤ(京都工芸繊維大学 18.0×6.0-10 LC0、2022年)

他には、グッドイヤーコンチネンタルが、それぞれ専用13インチタイヤを用意しています。※グッドイヤー、CONTINENTALの専用タイヤは生産終了となったようです。

グッドイヤー(トヨタ名古屋自動車大学校 20×7.0J-R13、2022年)
コンチネンタル(東京理科大学 205/470R13、2022年)

また、市販車用タイヤを使うチームもあります。ただし、市販車用タイヤだと軽い学生フォーミュラには堅すぎるため難しいという話があり、数チームに留まっています。値段からか、ダンロップ ディレッツアが人気です。

市販車用タイヤ(日本大学生産工学部 ダンロップディレッツァ03G、2022年)

2026年現在、新たなタイヤメーカー、銘柄の導入の動きがあり、これからは学生フォーミュラでもタイヤ戦争やタイヤ戦略が発生しそうですね!

ホイールについては、上記のフージャータイヤが10インチと13インチ用のみのラインナップということから、10インチと13インチホイールが大多数です。

専用ホイールは、国内ではエンケイ、海外では数社から用意されています。エンケイは10インチのみですが、海外製の主流であるOZホイールやBRAIDは10と13インチの両方、材質はマグネシウムやアルミやカーボン、さらにセンターロック式や4穴の取り付け方法など様々選べます。

エンケイ(北海道大学、2023年)
OZホイール 学生フォーミュラ専用10インチホイール(大阪工業大学、2023年)

近年は13から10インチへと移行するチームが多くいます。マシン自体やバネ下重量を大幅に軽量化できることが理由です。ただ、足回りの設計をコンパクトに設計したり、タイヤの熱問題が発生したりするので、移行にはハードルがあります。

コックピット(運転席)

最後に、ドライバーが座る空間を見ていきましょう。

まず、シートはほとんどのチームが自作で、FRPから作ります。どうしたらドライバーが心地よく運転できるかを考え、実際のドライバーから型をとって作られます。

インパネはチームの個性や、電子工作の技術が見えます。ちなみに、ステアリングホイール(ハンドル)を自作するチームも多くあります。

富山大学(2023年)
帝京大学(2023年)

また、シフトレバーに目を向けると、シーケンシャルシフトとパドルシフトがあります。

シーケンシャルシフトは、バイクのギアは元々シーケンシャルなので、学生フォーミュラ会の中では一番シンプルで作りやすいギアシステムです。

東京都市大学(2023年)のシーケンシャルシフト。ハンドル横にあるのがそれ。クラッチレバーも脇にある

もう一つ、パドルシフトがあります。近年のモータースポーツや市販車にも採用が多い、ハンドルの左右に2つのパドル(プレート)があり、それでシフトアップするものです。ワイヤーでギアボックスまでつなげる機械式タイプもあれば、電気信号を送ってギアボックスはエア圧や電動で動かすバイワイヤタイプもあります。

京都工芸繊維大学(2022年)のパドルシフト
スイッチ式のシフトボタン(大阪大学、2024年)

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