明日28日より、ついに「学生フォーミュラ日本大会2023」の日程が始まる。31日からは動的競技もスタートする。

その大会をもっと楽しむために、今年の様相や勢力図について振り返っておこう!

コロナ禍からの脱却が見込まれる

もはやマスクをつける習慣が薄れたのはかなり前に感じるが、昨年はまだ緊急事態宣言も発令される状況だった。

2020年は大会の完全中止、21年はオンラインで静的審査のみ開催。昨年は3年ぶりのフルスケール開催となったが、多くのチームはCovid-19の再流行により春まで学校側からの活動停止を言い渡される事態となった。影響は避けられず、車検不通過はもとい車両完成すら至らなかったチームが多くみられた。

今シーズンに入ると世界的にコロナ禍からの脱却が進み、今大会に向けチームは12か月きっちりと活動時間が取れるようになった。設計、製作、試走の3要素に時間を費やせる、19年以前と同じような状態に戻ったのだ。

とはいえ一つだけ影はまだ残っている。19年以前を知る学生はほとんどが卒業しており、メンバーは初めて「納期を順守して年間スケジュール通り進める」ことを経験した。この先を見越した製作・発注が意外に難しく、予定日に遅れず車両シェイクダウンをできたチームは少なかった。

好敵手続々!海外チーム再来とEV勢の台頭

19年大会以来、4年ぶりに海外チームの受け入れがなされ、「国際大会としての再出発」が宣言された。最終的に6チームが参加する予定だ。

国内チームとは比にならない規模で活動している場合があり、過去には総合優勝をさらうなど、その実力は確かだ。総合優勝や上位を狙いチームにとっては、その存在は脅威になるに違いない。

また、EVチームの数が増えるとともに、マシンのレベルも上がってきたことは今大会で見逃せないトピックだ。

大会運営をする自動車技術会の尽力で、チーム数は総エントリーの3割を超えるまでになった。EVクラス移行という選択肢は、ほとんどのチームが一度は話し合う挑戦事項となっている。

同時に、マシンレベルも上がってきた。昨年クラス王者である #E01静岡理工科大学は、テストラン時のアクセラレーションで日本記録を上回るタイムを叩き出した。21年まで4年連続クラス制覇を果たした #E04名古屋大学は、4輪独立モーターとカーボンモノコックという海外トップチームと肩を並べるパッケージを手に入れた。

EVが最速戦線や総合優勝に手を伸ばす時代が、もうすぐそこまで迫っている。

#E01 静岡理工科大学

勢力図:王者 京都工繊の連覇を阻止できるか?

昨年、8審査中6つで1位を獲得し、前例がないほど圧倒的な綜合優勝を収めたのは #1京都工芸繊維大学だった。21年も6位入賞しており、コロナ禍以降の王者として位置付けられている。

最終的に4連覇を狙い、今年もマシンを洗練させてきた。各試走会においてトップタイムを記録、時には大差をつけるなど、速さを維持している。静的審査にも穴はないはずだ。

#1 京都工芸繊維大学

今季勢力図は、他チームはその連覇を阻止できるか、という構図になっている。筆頭候補は、関西では #20神戸大学、#22大阪大学、関東では #4千葉大学、#7工学院大学、EVクラスからは#E04名古屋大学が挙げられる。ただ、京都工繊にアクシデントがない限り、どれもかなり厳しいことは間違いない。

#20 神戸大学
#7 工学院大学

その下、入賞(総合6位以内)やファイナル6(オートクロス上位6台の総称)の争いはさらに熾烈になるはず。昨年にコロナ禍の枷で実力を発揮できなかったチームらは、確実に実力を取り戻している。昨年に全競技完走のみで順位を伸ばしたチームは、大幅ダウンを経験してしまうだろう。

 

今年でエコパでの開催は最後となる。ラストイヤーを笑顔で終えられるチームはどこになるのか。戦いの火ぶたが切って落とされる。

大会の詳細はこちらから