富士スピードウェイ試走会(2023/07/09)

富士スピードウェイ試走会(2023/07/09)

この日、富士スピードウェイのP7駐車場にて、今季関東支部では初めての大型試走会が開かれた。

今季ここまで一番の盛り上がりを見せた試走会となった。

参加チームは、#1京都工芸繊維大学、#4千葉大学、#7工学院大学、#12東京農工大学、#16日本大学理工学部、#26東京都立大学、#E03東京大学の計7チーム。

概要

今年、本番の地・エコパP9が工事により当分使用できない状況にある。それを受け、ドライビングシューズブランド「NEGRONI」の宮部氏と関東学生フォーミュラ連盟が連携して、当地を借りた試走会が開かれることになった。

(NEGRONIのサイトはコチラ

午前にアクセラレーション、スキッドパッドのコースが、午後は周回走行のコースが敷設された。周回コースに関しては、スラローム2つ、本番コース中盤の低速区間などが盛り込まれていて、サイズは本番の約半分となっている。

午前はダンプコンディション(タイヤはドライ)。午後には雨が度々降りウェットに、霧にも見舞われた日となった。

この日のチーム状況

王者・京都工芸繊維大「GDF-18」は、今季ここまで国内で最も走行を重ねており、速さも信頼性も高い。この日は前日に、ここからほど近い沼津市でエアロの試験があったため、はるばる富士まで来ていた。

このマシンをベンチ―マークに、どちらも総合3位を狙う千葉大「CF-23」、工学院大「KRT-23」がどれほど匹敵するのか、といった部分に注目が集まった。ちなみにこの2チームは今季初の周回走行。

 

また、東京農工大や日大理工、東京都立は走行距離を稼ぐとともに、どの程度のタイムが出るのかが見どころ。

そして唯一のEV車両、東京大はこの日が初走行となる。無事シェイクダウンを果たせるか、そしてその先の走りの様子が注目点となった。

午前:早速全チームが走り始める

この日は千葉大が先頭で暖気エリアへ、9時過ぎには早速スキッドパッドで走り始めた。遅れて工学院大や東京農工大も走り始める。

10時には京工繊、日大理工も走り始め。ただ日大理工はチェーンのたわみによる干渉異音が見つかり、アクセラを走行するとピットへ戻っていった。そこを除き、4チームがスキッドパッド、アクセラを待機列を作り次々と走行した。

千葉大学

東京大学はこの日がシェイクダウン。ディスチャージ回路に不安を抱えてこの日を迎えたというが、2回目のチャレンジで初走行を果たした。2機あるモーターのうち片方のみを使った走行だったため非常にゆっくりだったが、念願のシェイクダウン、証明動画の撮影もすることができた。ちなみにこの後駆動系にトラブルが発覚、ここで撤収した。

東京大「ファラデー01」のシェイクダウン

また、東京都立大も11時の午前終了直前に走り始めた。エンジントラブルで時間を食ったが、午前中のうちに走行にこぎつけた。昨年にチェーンのたわみによる干渉異音の解消、新規導入のパドルシフトがある程度正常に動くことが確認できた。

東京都立大「TMU-04」

ちなみにタイム計測はアクセラのみ。集計は以下の通りだ。(太字は全体ベスト)

午前:アクセラレーション 走行数 ベストタイム
#1京都工芸繊維大学 不明 計測なし
#4千葉大学 5回 4.193 s
#7工学院大学 3回 4.319 s
#12東京農工大学 6回 4.696 s
#16日本大学理工学部 4回 4.684 s
#26東京都立大学 2回 4.740 s

午前終了時に一気に雨が降り始め、ここで路面は完全ウェットコンディションとなった。

午後:周回走行は天候に振り回される

完全ウェットになった路面には、軽い水たまりができている場所もあった。ただ雨は止んでおり、だんだんと乾いていくコンディション。

時折、霧が濃くなる場面も

この状況でも、京工繊と、初めての周回走行となる工学院大はさっそく走行をスタート。12:30から始まった午後の序盤は、この2チームが代わる代わる走行を続けた。

この時点では、比較的京工繊ははスタビリティ高め、工学院大は機敏な走りをしていた。ただ、練習段階・エースというドライバー差を考えると、タイムはほぼ変わらない。どちらも50秒フラットのタイムを記録する。

13:30頃に東京農工大が走り始めた。シェイクダウン翌日としてはトラブルなく走行ができている良い様子だ。挙動としては、昨年にはなかったアンチロールバーの搭載によりセッティングが大きく外れているのか、アンダーステアで苦しそうな様子だった。タイムは55秒近辺。

このあたりから路面が乾き始め、タイムが上がり始めた。走行を続ける京工繊はドライバーも変わり40秒台へ、午後前半の終了間際には46.441秒のこの日ベストタイムを記録した。工学院大は50秒を切れないどころか、逆にタイムを落としている。

このタイミングで千葉大が走行開始。ウェットタイヤのパンクで、急遽タイヤのはめ変えを近隣店舗でしていたそう。残り20分からドライバー練習のため列に混ざった。

3o分の休憩を挟んで、14:30からは午後の後半。水はけの良い部分ではドライパッチも出始め、ドライタイヤが現実味を帯び始める中、工学院大、千葉大、東京農工大に加え日大理工も走行に加わった。

工学院大は持ち込みのウェット路面セッティングが「あてずっぽうで当たった」とし、この時点ではさらにセッティングが煮詰まった様子。ただ、エースドライバーを擁しても49.052秒が切れず、京工繊との差を痛感することとなった。

日大理工はこの時点でドライタイヤを履いた。これはウェットタイヤが古すぎて、それならばドライの方がいいという判断から。

また、スーパーFJに出場する1年生が乗り込んだ。この日が2回目ということでまだ無線で指示を仰ぎながらだったが、その前に乗っていたドライバーと同等のタイムを出し、チームリーダーの森田氏が「期待通りでした」と感想を述べた。

15時を迎えるあたりから再度雨が降り始め、乾きつつあった路面は完全ウェットに戻った。割を食ったのは京工繊と工学院大で、まさにドライタイヤ・セッティングへ変えたタイミングだった。京工繊はドライで挑んだがグリップはなく、タイムは出なかった。

この後は日大理工、千葉大にウェットタイヤに戻した京工繊、工学院大が合流し、約1時間、代わる代わる走行をしていく。

この中でも京工繊は抜けており、一回は5周の走行の全ラップで50秒を切るタイムをマークし続けるなど、改めて実力を示した形となった。ただ「まだ理想には届いていない」と、この日最速となったことに安堵しつつ、臨んだ通りのマシンへ向けてさらなる改善を期した。

工学院大は50秒を切ってくるがライバルには及ばず。千葉大はこの日を終始ドライバー練習に使っており、タイムから実力を測るのは難しいところだ。

16時を過ぎると、時折かかっていた霧が一気に濃くなり走行中止に。そのまま晴れる見込みがないため、走行終了となった。

これにより千葉大はエアシフターのテストができずに終わってしまった。午後に走行の無かった東京都立大はエンジンの点火不良が発生していたそう。ただ前述の通りマシンの改善を感じることができた日となった。

チーム 総周回数 ベストタイム(時間)
#1京都工芸繊維大学 45周 46.441 s(13:56)
#4千葉大学 19周 51.626 s(14:01)
#7工学院大学 38周 48.052 s(14:41)
#12東京農工大学 14周 55.711 s(13:24)
#16日本大学理工学部 15周 61.910(16:01)

午後の周回走行サマリー

次回の試走会は、7月22,23日のホンダ主催もてぎ試走会。かなり多くのチームが招待を受けているとのことで、この日に勝りそうな盛況さが予想される。

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