5月20日土曜日、日本大学 理工学部船橋キャンパス 交通総合試験路にて、試走会が行われた。複数チームの合同試走会はこれが今季初となる。

参加チームは#7 工学院大学KRTと、#16 日本大学理工学部 円陣会。両チームともにシェイクダウン日で、今季車両のお披露目の機会となった。

交通総合試験路

試走場所は、日本大学 理工学部船橋キャンパス内の交通総合試験路、通称「滑走路」。その名の通り、現在は自動車の試験に、昔は小型飛行機の離着陸に使用された場所だ。

全長618m、幅30mのアスファルト敷が広がっている。これまでも学生フォーミュラのテストランにはいくたびも使われてきた、頼もしい場所だ。

この日は朝方は雨が降っていたが、昼過ぎから太陽が差し始め、夕方には暑いほどの快晴となった。

#7 工学院大学KRT

昨年に望外の総合7位、今年は明確に上位入りを宣言したKRTは、この日がKRT-23のシェイクダウン日となった。

5月中のシェイクダウンは実に8年ぶりだという。当日まで製作を続け、なんとかこの機会に間に合わせてきた。

23年マシン「KRT-23」

この日の朝に完成したという排気

昨年からの進化が各所に見られた。一方で、間に合わせ品も
ホイールはKaiserからBRAIDへ、タイヤはリサイズ?

点火確認のみ完了し持ち込んできたが、この日の1発目からエンジンは無事に始動成功した。

競技的な走行はなく敷地全面を使ったフリーランを3回行ったが、大きなトラブルは発生せず。KRT-23の盤石さを示した。

一方で、この日は冷却系のホース抜けが多発した。水路のパイプ径を細くしたそうで、それによる水圧の上昇に予想以上に苦戦した。また、最後は足回り部品の干渉から、走行時間を少し残しての終了となった。

昨年車両からの進化という点では、ドライバーはいいファーストインプレッションを感じていた。走行時の姿勢の良さや、前後トレッドの延長をしたことによるグリップ感の向上を感じ取ることができたそう。また、車両の回頭性の良さは車両内外から感じ取れた。

昨年に大きな課題となったステアリングの重さは、設計の狙い通り改善することができた。昨年の半分程度の力で切ることができるようになったという。

騒音測定も実施、数値上では課題がありそうだった

シェイクダウン証明の撮影はせず、その分の時間の効率化を図っていたのは印象的。また、到着時の準備の早さ、手際に良さも目についた。

ただ、この日陣頭指揮を執った長野氏は「バタバタしたのでチームとしては60点、自分個人については20点」と辛く評価した。「ここから走りこんで、大会までにはバッチリ仕上げる」と、今後の意気込みを語った。

#16 日本大学理工学部 円陣会

今年は「円陣会史上最速の走り」を掲げた、第一回大会から参加を続けるチーム。その今季マシン「NU-CST/021」はこの日に無事シェイクダウンを果たした。

マシンを全体的のコンパクトに、そして軽量化を重視して開発されたマシンは、かなり順調な1日を送った。

23年マシン「NU-CST/021」
リア部は狭く、短くなった
特殊加工によって高強度化され、小型化がなされたボルト
シートはカーボン素材に、その他エアロもほぼカーボン化する予定だという

この前日に急遽エンジンの点火不良が発覚しており、チームリーダーの森田氏は「走行可能性は30%くらい」としていた。だが、この日は同じコンピューターを使う工学院大に部品を借り、最終的には全開での走行まで果たした。

最初の走行枠でシェイクダウン証明の撮影を完了したことで、円陣会が持つ明るい雰囲気が最後まで続いた。その後は模擬アクセラレーションを重視したフリーランを2回行ったが、走行が止まるトラブルは出ず。開幕順調な日となった。

ドライバーの感想としては、特に重視した軽量化という点で昨年マシンからの進化を感じていた。かなり不安視された走行が叶ったことで、2人のドライバーはどちらも楽しんでいる様子だった。

森田氏は「今日の点数は100点。ブレーキや燃調など、仕上げる点がはっきり見つかった」と話し、「(大会に向けては)毎週のようにここで走って、ドライバーとマシンを仕上げたい」と語った。