「E01」、9年ぶりにその称号をマシンに掲げることとなった静岡理工科大学SIST Formula。しかし、22年のマシンの出来は、決して満足できるものではなかった。

22年の大会全体を見ると、コロナ禍のによる様々な影響から、特にEVチームはマシン設計、熟成が進まなかった。

クラス優勝者となったSIST Formulaも同じだ。マシンのシェイクダウンは大会の約10日前まで遅れ、大会がほぼ初走行だったという。最終日エンデュランス中に語った「ここまで走れているのは奇跡」という言葉に、その状況を物語っている。

22年マシン「SFP22EV」

23年は、栄誉たるE01をマシンに掲げるわけだが、彼らにはそれを意識した様子はなかった。昨年の大会状況や今のチームメンバーが11人であることをしっかり鑑み、変に力みすぎない体制がうかがえた。

 今年のマシン「SFP23EV」は、昨年マシンを煮詰める方向で進むという。フレームは作り直すこともなく昨年のものを使用し、マシン諸元には基本的に変更はない。

※EV車両に限っては、フレームを最大2大会継続使用できる。

手前が継続使用するフレーム、奥はICVの頃のフレームだ

ただしガッカリすることなかれ、これは「EMRAX 228を搭載した22マシンの本領発揮」と楽しみにしよう。

チームは、21年にダイキン製からEMRAX製のモーターに変更した。スロベニアの企業で、小型軽量、高出力が売りのモーターだ。

以降21年記録会、前述の22年大会と、その走行機会は少なかった。もちろん全ポテンシャルを発揮できたわけではないはず。その車体、モーターの本当の実力が見えそうだ。特にアクセラレーションのタイムには注目したい。

搭載するモーター「EMRAX 228」

そして、マシンは全く変わらないわけではない。「フロントウィングとディフューザーは新しいものになります!」と意気込んで話しかけてくれたのが、エアロ担当の佐々木氏だ。

昨年マシンも自慢できるような見事なエアロを搭載していたが、このアップデートが「SFP23EV」のもう一つの目玉となりそうだ。「姿勢変化でダウンフォースが変化しない」をテーマに開発したそう。昨年大会後の試走会では、エアロのテストも行っていた。彼の話しぶりからも、楽しみにしていいだろう。

23年マシン「SFP23EV」のレンダリング画像

静的審査に関しては「静的審査が非常に弱いですが、(マシン開発の)タスク量を減らした分、力を割いていきたい。」(チームリーダー今場氏)と話していた。昨年は静的だけで見ると35位。これは必ず改善したいところだ。

目標はICVを含めたチーム最高順位となる「総合順位8位」と定めた。シェイクダウンの予定は4月上旬とのこと。

 

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