現在、日本で唯一、海外のF-SAE大会に参加するチームがある。それが東京電機大学フォーミュラSAEプロジェクト「TDURacing」だ。

当サイトの調べる限り、2018年以降はここ以外で海外大会に出場している国内チームはない。

チーム創設以降、ずっと海外大会にこだわり続けるTDURacing。彼らの活動を取材した。

TDURacingとは?

TDURacingは、国内では最も古いチームのひとつ。2001年に結成され、2002年に初めてオーストラリア大会に出ると、以降ずっと海外大会に参加し続けている。2021年からは情勢等もあって参加できていないが、その気持ちは今でも世界に向いている。

拠点は、埼玉鳩山キャンパス 小平研究室、通称「夢工房」。ここは学生の夢をサポートする部屋としてある。国内学F界で比較してそこまで広くはないスペースを、ロケットコンテストに挑戦する団体などともに共有している。

2023年度新入生含めメンバー数は17人。決して多くはない人数で、大きな野望に向けて活動している。

発足当初から引き継がれる海外志向

チームは元々、有志が集まり、彼らが「フォーミュラSAEをやりたい!」と今はFAを務める小平先生に相談したことから始まった。小平先生が快く協力してくれて、日本大会の開始以前にスタートした数少ないチームとなった。

そのころから「海外で勝つ」ということが掲げられており、その志がいまも継承され続けている。

海外の時刻を表示する時計が並ぶ

聞く限り、TDURacingは他の日本チームとなんら変わりはない。前述の通り大きな活動場所を有しているわけではなく、予算も潤沢とは言えないし、チーム人数はむしろ少ない部類に入る。

一方で、確実に異なるのは「上昇志向」。日本を抜け出て世界レベルに挑み成長するという、かつては国内のあらゆるチームが持っていたであろう高い目標を彼らは今でも持っていた。昨年、情勢もあって実は日本大会の出場も検討したというが、それでも最終的にはオーストラリア大会を目指すことに決まるなど、何代過ぎてもポリシーが変わっていないのがわかる。

思い描いている野望は「世界一」と語った。今出場を続けているオーストラリア大会だけではなく、世界の5大大会(米・英・日・豪・独)で優勝することで、世界一を名乗れるチームになろうとしている。

世界で戦うマシン

マシンの作りも一味違う。

開発方針は「世界最小・最軽量」だ。

19年マシン「RF10E」

その言葉通り、ホイールベースはレギュレーション範囲内で最短、車重は150kgを下回るそう。19年のマシンだが、フレームを見ても明らかにパイプ密度が少ない。LSDはなく、左右直結スタイルだ。この軽量化へのこだわりに、世界で戦うという違いが見受けられる。

エンジンはホンダCRF450X、チーム伝統の単気筒エンジン。

これに関するTDURacingのエピソードは興味深いものがある。2000年初頭、単気筒エンジンはフォーミュラSAEには不向きだという意見が多かったが、2005年に同じく単気筒のRMIT大学とともにポテンシャルを見せつけ、驚かせた。そんな単気筒エンジンマシンを開拓したチームとして、歴史に名が刻まれている。(参考:History of Formula SAE https://www.fsaeonline.com/…

現在は、23年のオーストラリア大会に向けて製作が進んでいる。新マシンはさらに熟成が進み、海外チームにも引けを取らない速さになることがシミュレーションで示されているという。

狙うはオーストラリア大会優勝!

東京電機大学フォーミュラSAEプロジェクト ホームページ

続けて、東京電機大学TDURacingの、海外大会に向けたスケジュールや準備などを紹介したい。