昨年は2015年以来のエンデュランス完走ならずとなった。今年は、その原因となった10年落ちのエンジンを変更し、心機一転上位への返り咲きを狙う。
昨年はチーム20周年、いつもの赤色がメインカラーとなる車両からゴールド&ブラックを纏い、また2019年以来の前後ウィングを搭載した。ただ大会前も大会中もトラブルに苦しみ、最後はクラッチが切れない問題が発生し、エンデュランス18周目に停車、リタイアとなってしまった。
そこで今年、OBの助言もあってエンジン変更に踏み切った。昨年までのKTM 690Dukeは、排気量上限付近の単気筒エンジンで学生フォーミュラに非常に適したエンジンとの評価もあったが、トラブルが多い印象でもあった。入れ替わるエンジンは、昨年よりスズキから支援が始まった GSX-8R、775cc並列2気筒エンジン。これをルール上限の710cc以下に調整し使用する。選んだ理由としては、トルク特性がコースレイアウトに合っていること、また排気量調整で排気量を落とすことに注目し将来的なターボ化を見込んだことを要因として、現在国内で最もホットな2気筒を選択している。

それを積む車両のコンセプトは「踏めるマシン」、副題として「堅固な基礎と運動性能の両立」としている。トラブル続きで走らせなかったことは見直し堅固に、そこに車両パフォーマンスをも追加するという考えだ。
シャシーは度合いが大きそう。慣性モーメントの低減を狙いホイールベースが80mm短縮される、一方フロントのトレッドは広がり、ヨーレートゲインが確保される。ドライバーの着座位置は、車体重心と一致させるように移動。そして低速コーナーの増加したASE新コースに合わせてPOU (Pushrod On Upright)も導入する。全体でスクエア寄り上位30%程のホイールベース/トレッド比になり、車両挙動も大きく変わってくるのではないか。
エアロは、昨年を受けた改善がなされる。昨年は路面接触を避けるためエンデュランスではフロントウィングの位置を上げていたが、それによりダウンフォースの強さが大きくリア寄りになりステアバランスがかなり悪化してしまったそう。それを避けるためフロントウィングをバネ下化しするなど対策しつつ、ダウンフォースの中心を理想的な位置に調整する。
エンジン周りは、まずはデータ収集の年となる。搭載に向けては3Dデータ化、ファイナルギア比の選定、フルコンとの調整などやることは多い。ただ早速オイルパンは自ら設計したものを使用するそう。上下にサイズがある純正品より薄くすることで、エンジン搭載位置をかなり下げることができる。
ちなみにスズキの新2気筒エンジンは、まだ動的審査やエンデュランスではその搭載車両がまだ走っていない。福井工業大学、新潟大学、そしてまだいるかもしれない他チームに対し「弊部 茨城大学が先にエンデュランスにたどり着きたい」と話した。
本日、無事に接地しました!
— IUR(茨城大学学生フォーミュラ部) (@I_U_Racing) March 24, 2025
シェイクダウンに向けて頑張ります!#茨城大学#学生フォーミュラ#茨城大学学生フォーミュラ部 pic.twitter.com/Al12BBzNl2
大会目標は、ICVトップ10だ。昨年エンデュランスが無事完走出来ていたら取れていた順位と想定し、「下がってしまった順位を盛り返したい」と意気込んだ。
2019年、22年は一桁順位を獲得しているが、23年は14位、24年は21位と下降気味。ここで新エンジンに変えて、再び上位へと戻れるか。
茨城大学2025年車両「IUR21」スペック | |
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フレーム | 鋼管パイプフレーム |
エンジン | SUZUKI GSX-8R (2気筒、709cc?) |
ホイール | 10インチ |