日本大学理工学部(船橋キャンパス) 円陣会

 チーム創設は1952年にまでさかのぼり、「円陣会」自体はものづくりを学ぶ会として非常に歴史がある活動。1998年の日本の学生フォーミュラのスタートから参加しており、アメリカ大会遠征の合同チームに続き、日本大会へは2003年のスタート時から参加し続けている。日本大学としては、生産工学部(津田沼キャンパス)と並行して出場している。
 キャンパス内には「交通試験路」というテスト走行に使える広大なスペースがあったり、エンジンベンチ(試験設備)も使用することができる、かなり恵まれた活動環境にある。

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昨年は大躍進の年となった。FAの教授の退任のため「ありがとう星野先生」を車両に飾る中、5年ぶりの全競技完走の達成や、さらにはチーム初のファイナル6を達成した。

ただチームとしては予想外の飛躍ぶりだったという。特にファイナル6については、チームリーダーの佐藤さんは「意外だった。マシンの完成度はお世辞にも良くなかった。ちゃんとしたサスセッティングも出せていなかった」と振り返っている。F4にも乗ったことのあるドライバー大石喜生さんのドライビングに助けられた部分は大きいようだ。

そこで今年は、車両コンセプトを「応」に決め、意味の一つにドライバーの攻めた操作に応じられるような車両を目指すことを込めている。限界が高く、そしてガクエフ界には稀有なレース経験者ドライバーのテクニックを最大限活用できるような車両だ。

車両全体では、軽量化が大きなテーマになっている。バネ上だけで-10kgの軽量化を目標として厳しく課したそう。それでもエアロ班は-2.6kgという目標値にキッチリ応えたそうで、エンジン周囲も3Dプリンターの活用などで重量減に努めている。また塗装での重量増にも気をかけている様子だった。

シャシーでは車両重心を下げることも目指し、10mm下げることに成功したそう。この重量特性も厳しく追及し、そのために2年連続のホイールベース延長もしている。ロールピッチなどの動きが昨年に比べて抑えられそうだ。

そしてタイヤは大きな注目点。今年から供給が始まったSenturyというメーカーのラジアルタイヤを早速使用する。シャシー的に硬いラジアルタイヤに対応できると判断し選択。昨年に別のものでラジアルタイヤでテスト走行したそうで、その際に車両挙動の向上が確認できたそうで、既存大多数のフージャー製との違いが楽しみだ。

今年はチーム運営の改善にも着手。情報共有や進捗確認を良くしたことで、シェイクダウン前までは大きなトラブルなく進むことができているそう。例年通り仲の良いチームが、風通しのいいチームにもあり、進捗が確実に円滑になっているようだ。

目標はICVの10位以内。一桁順位は2023年から狙っており、今年はEVクラスと分離になり抜けるため、ぜひとも到達したい順位だ。

ちなみに「応」というコンセプトには、70余年の歴史を持つ活動の中で関わってきた人たちの期待に”応”える、という意味も込められている。その通り期待に応えて、2006年以来の10位以内の達成なるか。

日本大学2025年車両「NU-CST/023」スペック
フレーム鋼管パイプフレーム
エンジンYAMAHA YZF-R6 (4気筒、599cc)
ホイール13インチ