東京大学フォーミュラファクトリー

 2003年の第一回大会から参戦しているチーム。サイドエンジン方式、リジッドサスペンションなど特色ある車両での挑戦が特徴で、2009年にはサイドエンジン方式の車両で唯一の総合優勝を達成している
 EVクラスには2023年に転向。デンソー製モーターを2機積み、バネ下であるリジッドアクスル側に搭載する特徴的な車両で、EV初年度から2年連続で全競技完走を達成してきている。
Webサイト:https://utff.com/

2年ぶりの車両フレーム刷新で挑むは、同期EVチームの名古屋工業大学だ。

昨年はEV2年目。車両フレームは前年のものを流用し、特色であるパーツの内製化や各所の車両パフォーマンス向上を図った。結果として、車両の速さは増し、獲得ポイントの向上も果たした。

ただ発展を続けるEVクラス内を見ると、2位名古屋工大には2年連続で届かず、一方下では完走するチームも増えてきた。「EVクラス内では順位が止まった。また下が追い付いてきた」と一抹の危機感のようなものを感じているようだった。

そこで「名古屋工大に太刀打ちできるように」と、今年は車両を一気に変え、ポテンシャルの向上が図られる。目指すはエンデュランスのペースアップ、そこで名古屋工大との差を詰める目論見だそう。

車両コンセプトは「More Power, Better Control」、モーター出力アップ、そして制御面での向上を狙う。

出力向上のカギとなるバッテリーは、まだ検討中。昨年から検討や調整をしており、変更されればモーターパワーの開放が期待できる。

制御面では、2モーター搭載だからこそのトルクベクタリング(両輪を独立制御し旋回を助けるシステム)や、トラクションコントロールのレベルアップを図る。舵角センサー以外にも入力要素を増やして、より綿密で精度の高い制御を目指していくそう。

そしてコンセプトにはないが、車体の変更は大きなトピックだ。2018年から採用している特徴「リジッドアクスル」ではなくなるなどの変革がなされ、車体は丸さのある形状から、スリムなものになるようだ。EV3年目を迎える中で、「手早く作れるマシンから、軽くて速いマシン」へと設計のスタンスが変わったそう。

他の変更点として、コックピット両脇にあったバッテリーはシート後方に移動される。また軽量化として、小型化が可能なフロントのみが10インチホイールへ変更される。リアホイールは昨年に引き続き実質インホイールモーター(アップライト固定)となるため、13インチのままになる。

ちなみに車両名は「Faraday Type R」。電磁気学の父マイケル・ファラデーの名を冠し、後ろにはまたもチームリーダー坂野綾師(ばんの りょうせい)のイニシャルを取ってくる形で”Type R”がつけられた。

目標はEV2位の座。車両ポテンシャルの差を詰めて、初年度から後塵を拝され続けているEV同期チームを上回れるか。

東京大学2025年車両「Faraday Type R」スペック
フレーム鋼管パイプフレーム
モーターデンソー貸与品×2
ホイール前:10インチ
後:13インチ