2年ぶりの車両フレーム刷新で挑むは、同期EVチームの名古屋工業大学だ。
昨年はEV2年目。車両フレームは前年のものを流用し、特色であるパーツの内製化や各所の車両パフォーマンス向上を図った。結果として、車両の速さは増し、獲得ポイントの向上も果たした。
ただ発展を続けるEVクラス内を見ると、2位名古屋工大には2年連続で届かず、一方下では完走するチームも増えてきた。「EVクラス内では順位が止まった。また下が追い付いてきた」と一抹の危機感のようなものを感じているようだった。

そこで「名古屋工大に太刀打ちできるように」と、今年は車両を一気に変え、ポテンシャルの向上が図られる。目指すはエンデュランスのペースアップ、そこで名古屋工大との差を詰める目論見だそう。
車両コンセプトは「More Power, Better Control」、モーター出力アップ、そして制御面での向上を狙う。
出力向上のカギとなるバッテリーは、まだ検討中。昨年から検討や調整をしており、変更されればモーターパワーの開放が期待できる。
制御面では、2モーター搭載だからこそのトルクベクタリング(両輪を独立制御し旋回を助けるシステム)や、トラクションコントロールのレベルアップを図る。舵角センサー以外にも入力要素を増やして、より綿密で精度の高い制御を目指していくそう。

そしてコンセプトにはないが、車体の変更は大きなトピックだ。2018年から採用している特徴「リジッドアクスル」ではなくなるなどの変革がなされ、車体は丸さのある形状から、スリムなものになるようだ。EV3年目を迎える中で、「手早く作れるマシンから、軽くて速いマシン」へと設計のスタンスが変わったそう。
他の変更点として、コックピット両脇にあったバッテリーはシート後方に移動される。また軽量化として、小型化が可能なフロントのみが10インチホイールへ変更される。リアホイールは昨年に引き続き実質インホイールモーター(アップライト固定)となるため、13インチのままになる。
ちなみに車両名は「Faraday Type R」。電磁気学の父マイケル・ファラデーの名を冠し、後ろにはまたもチームリーダー坂野綾師(ばんの りょうせい)のイニシャルを取ってくる形で”Type R”がつけられた。
目標はEV2位の座。車両ポテンシャルの差を詰めて、初年度から後塵を拝され続けているEV同期チームを上回れるか。
東京大学2025年車両「Faraday Type R」スペック | |
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フレーム | 鋼管パイプフレーム |
モーター | デンソー貸与品×2 |
ホイール | 前:10インチ 後:13インチ |